今回のインタビューは、『癒され上手になりましょう』の著書でおなじみの、 I.B.P総合研究所の 本城 稔(ほんじょう みのる)先生です。 本城先生は、この道30余年の超プロ・心理カウンセラー・ サイコセラピストとして、驚異的な成果を上げ続けていらっしゃいます。 また、成婚率日本一の指導実績をお持ちの「結婚コンサルタント」という ことでも有名です。 「絶対、大丈夫」「安心・安全・リラックス」を心に取り戻すことを基本に、 多くの心理療法・精神療法を駆使した個人セッションの他、 セミナー・ワークショップ・講演活動で全国を飛び回る先生に カウンセラーとしての姿勢や、今後の展望について深いお話を伺いました。 |
安心・安全・リラックスで自然治癒力が増す |
![]() 「ご本の中の“安心・安全・リラックス”という言葉。これは何処から生まれたのですか?」
私のもとには、ほとんど、精神科か心療内科に何年も行っていらっしゃる方々が、来られるんです。薬物の副作用で苦しんで、更に症状が悪くなって、絶望状態の方々がほとんどなんですね。 その方々がなぜそうなっていったのかを考えた時に、私もその体験が昔ありますが、不安・怯え、これに襲われると、安心・リラックスできなくなりますよ。 それで、心の状況が脳に影響を与えて、脳のバランスが崩れる。病院に行けば、脳のバランスが崩れているということで、心の薬じゃなくて脳の薬をくれますよね。 安心・安全・リラックス感があれば、瞬時に自然治癒力で脳のバランスも取り戻すことができるという体験を、ずっと聞かせていただいていたんです。その方が、安心・安全・リラックス感を取り戻した時に、瞬時に良くなられたと。 そういうことを、私もたくさん見させていただき、体験させていただいたから、本質はそこにあるんだと思ったのです。 心が安心・安全・リラックス感を増せば、心の自然治癒力が増して、自分で自分を癒していかれるっていうことが、そこが本質なんだと感じさせられたから、そういう表現になっているんです。 「先生のセラピーの基本は安心・安全・リラックス感なのですね?」
そうですね。通常はカウンセリングの時間は50分とか1時間とかですよね。私の場合は、初回に関しては、半日お時間を空けさせていただいて、最低4時間です。又は、1日なり、県外から来られる方は1泊二日、お時間空けさせていただいて、徹底的に聞かせていただくんです。 「宿泊施設もおありなのですか?」
そうです。今、住んでいるのは、専業農家のお宅だったところです。かやぶき屋根の家なので、納屋が宿泊施設といったら変ですが、そこで泊まりきれなければ、自宅の方に泊まっていただくことも時にあります。 将来的には、ペンション風な天然素材の建物をいくつか自然の中に建てて、ゆっくりしていただけるようにしたい、できれば温泉も掘りたいなと思っています。 「他に先生が大事にされていることとして、“絶対大丈夫”とおっしゃるそうですが?」
そうですね、先程の安心・安全・リラックス感。これには、やはり確信がないと、ほっとできませんよね。「大丈夫だと思います」くらいの言葉では足りないのです。 さんざん苦しんで、不安、怯え、悲しみ、苦しみ、絶望感の中で歩んで来ておられる訳ですから、絶対的な確信がない限りは、それを突破することは難しいだろうと思います。 私も、最初からそれを絶対的に言えたかといえば、そうではありません。 でも、30年余りたっていく中で、本当に絶望的な人が癒されていく体験をたくさんさせていただいて、「もうこれは、絶対大丈夫だ」っていう確信を、実体験を通してどんどん増してきたから、「今は絶望状態でも、必ず良くなります」って、断言できるようになったんです。 私は自分に自信を持っている、いらっしゃった方も自然治癒力をもっておられる、という確信の元にその人に合った形で、自然治癒力を増していく。徹底的にお聞きして、どういう方法がこの人に合っているのかを、その中に見出していく訳です。 「引きこもりの方の支援活動もされていますが、きっかけがおありだったのですか?」
きっかけは、引きこもりの会の全国組織が色々ありますよね。ちょうど息子さんのことで相談に来られた方が、その会に入っておられまして、私のような者がその会に行ってお話させていただくと、皆さんにとても役に立つだろうと言われたのです。 相談に来られた方はもちろん問題解決できたんです。それで、その会に紹介を受けてお邪魔したら、皆さんがどんどんご相談に来られるようになったのです。それからのご縁で、引きこもりの全国大会とか、色々な会に参加させていただくようになったのです。 「親御さんに対して、カウンセリングをなさるのですか?」
7〜8割はそうです。親は悪気は無いんですけれども、やはり、子どもの問題は、多くは親の影響で、それで子どもが問題を抱えてしまっているということが多いんではないかと思います。 親の対応、表現を変えることによって、必ず、子どもは安心・安全・リラックス感を持って癒されていくんです。まず、親が幸せ・リラックス感を持てるような学びをしていただくことが、第一です。 その影響で、自動的に子どもも癒されていく、そういうプロセスが多いものですから、毎週親の勉強会を中心にさせていただいています。 「引きこもりの方が元気になるために、大切なポイントはありますか?」
多くの場合、親が先走って、口出ししているのです。親としては心配だからということだと思うんですが、第1番目に大切なことは、任せるということです。心配ですけれども、失敗しようがなんだろうが、そのことを通して学んでいくような、任せ方が大切ですね。 後は、やはりしっかり子どもさんの話を聞いてあげて、それも、途中で割り込まないで、しっかり聞き切っていただくということです。 そして、3番目に必要なのは、親子といえども価値観・感覚が違うということの理解を深めていただきたい。 4番目に心のこもった挨拶をしていただきたいということになりますね。「おはよう」とか、出掛ける時には黙って出掛けないで「ちょっと出掛けて来ます」とか、帰って来たら「ただいま」というような、存在を認める挨拶を自然にしていただく必要性があります。 5番目が、子どもを認める、褒める、感謝する言葉をお伝えしていただきたいなと思います。この5つを実行していただくと、必ず、子どもさんは自分らしく自分を取り戻していかれるようになられます。 「回復なさるのに、時間がかかる方もいらっしゃいますか?」
ケースによりけりだと思うんですけれど、本気で親が、親自身が安心・リラックスできるように取り組んだり、学ばれると、大体、1年から2年くらいで、一つの変化は起きます。中途半端だとそれ以上の時間が掛かると思います。 まず、多くの場合、親が鍵を握ると思いますね。言葉の表現も、否定的な言葉じゃなくて、肯定的かニュートラルな表現が大事ですね。そして、感謝する言葉や、認める、褒める言葉ですね。 「ご自身のことでないだけに、親御さんはよりお辛いかと思うのですが?」
お父さんお母さんは、やはり一般的な常識って言いますか、基準値で考えておられますので、引きこもっている状況では減点主義になります。 とりあえず、世間の一般常識はちょっと横に置いていただいて、今の子どもさんの基準値まで降りていただいて、加点主義で捉えていただくことが、最も大切だと思います。それでないと、親も安心・安全・リラックス感を増していくことは難しいですよね。 お父さんお母さんのお話を充分お聞きして、どう子どもさんを捉えたらいいのか、接していったらいいのか、その子どもさんおひとりおひとり毎に違いがありますから、そのご家庭に合った接し方・考え方を共に見出して、少しずつ成長していくような、そういう学び方をしていただいています。 「親子で、共に成長していただく?」
そうです。初期段階は親だけで、ある程度進んだら、子どもと親、別途だったり、そのうち親子一緒だったリ、別々だったり。状況、内容に応じて、上手く対応していきます。 とにかく、こころの栄養、エネルギーを充足する。充足できればできるほど、安心・安全・リラックス感が増して、また冷静に考えられる力も湧いてくる。比例して、自然治癒力も増して、癒されていくっていう、そういう流れになって行きます。 その人に合ったプロセスが必ずあると、固く信じていますから。確信を持っているというか、諦めなければ必ずそれは見つかると私は思っています。 ![]() |