| 今回のインタビューは、『凹まない生き方』『うつにならない言葉の使い方』 などの多くの著書でおなじみのメンタルヘルスコンサルタント メンタルサポート研究所代表 倉成 央(くらなり ひろし)先生です。 倉成先生は、再決断療法の第一人者としても広く知られ、 ワークショップ、カウンセラー養成で、全国を飛び回っていらっしゃいます。 「心のこと、カウンセリングは大切なものなんだということを広げていきたい」 と、おっしゃる倉成先生から、 「再決断療法」の有効性や「感情処理」の大切さ、 カウンセラーとしての姿勢や、今後の展望についてお話を伺いました。 |
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問題の根本である決断にアプローチして根っこから解決していく再決断療法 |
![]() 「先生は小さい頃はどんなお子さんでしたか?」
たぶん今で言う「多動」に当たると思いますが、授業の時に椅子に座っていることが困難でしたね。どちらかというと問題児の方だったと思います。 小さい頃は「何で自分は落ち着きがないんだろう?」と思うことが多くて、何になりたいということよりも、普通に大人になれるのかなと不安に思っていましたね。 「経営学科に進まれたのですよね。ビジネスに興味をお持ちだったのですか?」
学校で適応が良くないので、勤め人ができないかもしれないし、自分で会社でもやった方が良いんじゃないかと思って経営学科に進んだんです。将来的には経営側になろうと思っていました。 卒業後は、経営コンサルタントとして会社に6年ぐらい勤めて、それから脱サラして独立しました。1年経った頃に、もう少し別のビジネスをしようと思って、コンサルタント業は他の人にお任せして飲食ビジネスを始めたんです。 実はそのコンサルタント業をやっている頃に、初めて再決断療法のワークを受けたんです。 「それはどのようなきっかけで?」
友達から誘われました。その頃、企業で研修をやるために交流分析の勉強はしていたんですが、アメリカにいた友達が「本当に性格が変わるカウンセリングがあるけど受けてみる?」と教えてくれたんです。 そんな適当な話がある訳がないと思いながら眉唾で受けたのが、再決断療法を考案したグールディング夫妻のワークショップだったんです。 「再決断療法のワークショップに参加されて、第一印象はいかがでしたか?」
インチキ臭いなと思いました。何か買わされるんじゃないかと思いました。確か20〜30人くらい参加していたんじゃないかな。それがみんな妙に盛り上がっていてね。 でも、せっかく行ったので、自分も手を挙げて真っ先にワークを受けたんです。当時は罪悪感が強かったので、人が怒られているのを見ても自分が悪いような気がして。その罪悪感を無くしたい、というようなワークを受けました。 15分くらいのワークだったと思います。ワークが終わって、気持ちはずっと楽だったんですね。 1か月くらい経った頃でしょうか、友達から「倉成、最近『ごめん』っていう口癖が無くなったね」と言われました。そういえばあれから罪悪感が無くなったし、「僕、そんな口癖あったの?」って思って。それから、再決断療法にのめり込んで行ったんです。 その頃はまだ趣味としてやっていました。自分のため、自分を変えるための趣味として。仕事は仕事として本業を続けていました。 「では、個人的興味から再決断療法に入って行かれたのですね?」
そうです。自分がどんどん楽になるためのものがあるんだと思って。カウンセリングを受けていくと、勉強もはかどるようになるし、対人関係の苦手意識もなくなって人付き合いが楽になってくるし、良いこと尽くめだったので、自分のためにどんどんのめり込んで行きました。 その時はまだカウンセラーになりたいとは思っていなかったんです。 「ご自分が楽になるという実感がおありだったのですね?」
かなり、ありました。それ以前は人が苦手だったので、お客さんと会うことがしんどかったんです。コンサルタント業というのは、企業の経営者や幹部社員と会わなければいけない仕事ですが、対人関係が苦手だったのでストレスが強かった。 強いストレスを頑張って克服していたという感じだったんですけれど、再決断療法に出会ってからは、辛さは随分減ったような気がしますね。今は人と会うのが全然楽ですもんね。 「その後、カウンセリングをお仕事にされたのは、どういう経緯で?」
飲食業をスタートして2年目には従業員が150名くらいになっていたんですね。ただ、急成長したといっても借金だらけなんです。 2年過ぎた辺りから経営がうまくいかなくなって、店が火事になったり、いくつかの出来事が重なって、それから急激に経営状態が悪化して、黒字の店は多いのに資金繰りがうまくいかないという状態になって、4〜5年目には会社が無くなったんです。 その時は4つほど会社がありましたけれど、そうなると全部連鎖倒産ですね。金融機関にはたくさん迷惑をかけました。10億とか、返しようがないような借金でしたから、もうどうしようもなかったですね。日経新聞に大きく倒産が載りました。 当時はいわゆるベンチャーのハシリというか、若手経営者ということで持てはやされて、日経新聞にコラムを寄稿したり、「青年実業家の24時間」というドキュメンタリーに出たり、経営者向けの講演会に呼ばれたりと、ちょっと調子に乗ってた時期だったと思うんです。 その後しばらくは「ごめんなさい」ばかりだったんですけれど、それからやり始めたのがカウンセリングなんです。 「お一人で始められたのですか?」
それまでに勉強していた再決断療法の手法を使って、カウンセリング関係のスクールやカルチャーセンターで教えたり、自分で講座をしたりとか、そういうことを始めました。 「活動を始めて、最初はどんな感じだったのでしょうか?」
それが、瞬く間に広がったんですよ。最初は苦労した時代があって・・・と言いたいところですが、そうでもなくて。瞬く間に勉強したいという人が周りにどんどん増えていったんです。 講座に来た人達が希望してくださるので、ほぼ毎月のようにワークショップも開催していました。ずっと九州で活動していて、東京に9年前に出てきました。 「心理療法の他のアプローチ法と、再決断療法はどこが特に違うと思われますか?」
問題を解決するというところに、かなり直線的に行くというところが違うなと思いますね。 「再決断療法とはどんなことをするのか、簡単に説明していただけますか?」
自分が今、問題だと思っていることがありますよね。悩みであったり「自分はもっとこうなりたい」という思いであったり。 その「問題だ」と思っていることの原因は、ほとんどが小さい頃から今までの人生のどこかで、自分が取り入れたもの、決断したものなんですね。生まれつきの問題・遺伝的な問題を除いては。 「こういう状況では、こう考え、こういう感情を使う」という決断――例えば、人に構ってもらいたい時に相手を攻撃する、という人がいるとしたら「構ってもらえず悲しい時に、怒りの感情を使って相手を攻撃すればよい(振り向いてもらえる)」ということを取り入れている、決断しているんです。 私達は今までにいくつもの決断をして、決断した考え方や感じ方を繰り返し体験しているんです。 例えば、同僚が褒められているのを見たら自分はダメだと思い落ち込みを体験している人がいるとしたら、その人は幼少期に「兄弟が褒められている時に、自分がダメだと言われているような非言語的なメッセージを受け取り、そのように感じていた」ということを繰り返しているかもしれないということなんです。 その時に、「自分はダメなんだ」と決断している人が、その決断自体を変えるよう支援していく、その取り入れた決断をもう一度取り入れ直そう、というのが再決断療法です。問題の根本である決断にしっかりアプローチして根っこから解決していく、というようなものです。 決断が変わるということは、考え方や感じ方も変わるということです。だから、変化は割と自然に訪れますよね。そういえば最近こういう感覚をあまり持ってない、とか。そういうのが再決断療法の特徴かなという感じがします。 「具体的には、決断を変えるというのはどんな風になさるのですか?」
もう一度、小さい頃の決断した場面を再現して体験してもらって、その場面で「あの時はこの決断をしたけど、今後はこの決断をする」と決心してもらうんです。 例えば「自分はどうせ誰からも好かれないんだ」とよく思う人がいるとしたら、それを最初に感じたのはいつかというのを体験してもらうんですね。 小さい頃に、親から愛されてないと思った時にそう感じたのであれば、親が自分のことを愛していないと感じたその場面をもう一回体験してもらうんです。 そして、親が愛してくれないから、やっぱり自分は誰からも愛されないんだと自分で決めるのか、それとも、この親は愛してくれなかったけれども自分は愛される価値があるんだ、ともう一度決めるのかを選択する、再決断するんです。 そして、ポジティブで建設的な方を選択できたら、その人の感覚が変わるんです。 「その時に先生は、どういう介入や支援をなさるのですか?」
クライアントさんの気持ちに寄り添って、クライアントさんがポジティブな新しい決断ができるように勇気づけていくことをします。 「今まで自分は誰からも愛されないという決断を持ち続けたのは、とても辛かったね」と、気持ちに寄り添いながら、この辛い状況をまた続けていきたいか、それとも違うことを自分で決めていきたいかを投げかける形で介入していきます。 「体験するというのは、思い出す感じですか?」
いいえ。例えばひとつの方法としては、ゲシュタルト療法のように空椅子を使って、そこに両親がいて決断メッセージを受け取っているその場面に身を置いてもらうんです。 そして小さい頃の自分の気分とか感覚、言われた言葉ひとつひとつやその時の気持ちを、もう一度体験し直すような感じです。だから、思い出すというよりは再体験するという言葉が近いかな。 「いつ決断したかがはっきり分からない方もいらっしゃるのではないですか?」
そういう方もいますが、大抵は大丈夫です。大体いつ頃からその感覚を持っているかを探っていけば、大抵、決断の場面に辿り着きます。 似たような場面を人は何回か体験しているので、はっきりと「これが一番最初の場面だ」と言い切れるものが分からなくても再決断はできるんです。要は、決断した内容を建設的な決断へと変えることができれば良いのですから。 ![]() |







