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あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」 インタビュー集


カウンセラーやセラピスト、セミナー講師など「こころの現場の最前線」で活躍されている方の横顔を紹介します。

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 ・私も将来カウンセラーになりたいのですが・・・
 ・・・などなど


「こころ達人の横顔」をインタビューしてきました。
あなたにとって、カウンセリングやセラピー、ヒーリングがもっと身近になれば幸いです。

- 松木 正 先生 マザーアース・エデュケーション -

   「主体と主体で、互いに物語の主人公になれるような生き方を」

2012年 07月 7日


今回のインタビューは、独自の「環境教育プログラム」を展開されている
「マザーアース・エデュケーション」主宰の
松木 正(まつき ただし)先生です。

マザーアース・エデュケーションの「環境教育」とは、
“私”を取り巻く様々な生命(いのち)、
存在(自然、人、自分、大いなるもの)との調和を追求し、
バリュー(Value=大切なこと)を主体的に学びとっていく「関係教育」。

アメリカ先住民の智慧をベースに、野外教育活動やワークショップ、
講演・カウンセリングで、全国を飛び回る松木先生に、
「自己肯定感」「主体性」を育むことについて、深いお話を伺いました。


環境の4領域、自然・人・自分・大いなるものとの「関係教育」

インタビュー写真




「環境教育について、分かりやすくお話いただけますか?」

環境教育というと、自然保護運動とか環境問題に取り組んでそういう教育活動をしていると思われがちですけれど、マザーアース・エデュケーションでは「環境」を4領域でとらえていて、環境の4領域は、「私」という生命を取り巻いている環境のこと。生命のこと。

一つは自然環境。私という存在と自然という存在がどう関わりあっているか。自然って、当たり前にまわりにあるけど、なかなか触れ合ったり、そこで関わりあったり本当の意味で自然と出会う「自然経験」が少ない人が多い。

自然豊かな所に育ったとしても、自然と触れているかと言うとそうでもない。むしろ街の子の方がキャンプに行ったりして、自然体験豊かですね。田舎に行ったら、全部車で送り迎え。ドア トゥ ドア。自然があっても自然と触れていないし、人が周りにいても出会っていない。感情のやりとりをちゃんとしていない。

自然と濃厚に出会うこと。つまり五感を使って、ここにちゃんと生命ある存在が、こんな風にいるんだなと認知したり(Body)、自然と触れ合う活動から、出会った自然と自分がどう関わりあっているか(Mind)、自然と関わりながら自分の内側でおこっている感情を、ことばや作品にして表現してみたり(Emotion)、自然との一体感を感じたり(Spirit)。そういう活動をしているのが、この私と自然という領域での生命との関わり方。

それと対人関係。それは「私」と家族との関係、クラスメートとの関係、クラブの仲間やいろんな仲間との関係ですね。つまり人間関係。

それともう一つは自分自身との関係。僕は「私」と自分というのも一つの環境と置いています。自分の身体だったり、考えだったり、感情だったり、ある種スピリチュアルな部分、それらを全部含めて自分という考え方ですね。

自分自身とちゃんと関われていないことで、病気になったり心が病んだり、たくさんの問題を引き起こしていることがあると思うんです。だからこれも一つの環境ですね。


「自分との関係も環境なのですね?」

それとセレモニーで取り扱っているのが、大いなる存在との関係。この4領域にまたがって僕らが仕事をしている。この中で調和よく生きるというのはどういうことか、もっといい関係はないだろうかと探るモチベーションを生み出します。

いわゆる I`m OK! You’re OK.! みたいな、あるがままを認め合える関係を、遊びやアクティビティを通して気づいたり、それを援助したり、カウンセラーとして引き出していったり、気づきを導く手助けをしたり。そういうことが僕らの環境教育です。

自分という生命と自分を取り巻くいろんな生命との関係教育です。環境教育は、関係教育ですね。それに先住民的な智慧を借りながらプログラミングされているのが、マザーアース・エデュケーションです。


「具体的には、先住民的要素をどのような形で活動に活かしているのですか?」

一つの切り口としては、僕のものすごく惹かれる動物のひとつで、インディアンにとっても大きな存在として現れる大切な動物のひとつに「狼」があるんですね。

動物って進化していきますよね。多くの場合、捕食動物は一頭でも狩猟する能力が高くなるように進化していく傾向が強いと思うんですけど、狼は進化の過程で「群れ」を選んだ種なんですね。群れるということは、ものすごく群の仲間との関わりが重要なわけです。家族や社会との関わり。

と同時に、人が忘れてしまったようなことを狼達は普通にやっていると思うんです。一つはコミュニケーション能力。狼のコミュニケーション能力はものすごく高い。全動物の中でも超越的に感情をちゃんと伝えることをするし、そのことができる動物だと思います。


「感情を伝える能力ですね?」

例えば、狼のイメージとして誰もが挙げるハウリング。つまり遠吠え。ハウリングは、いろんな感情表現ができます。人間に欠けていて狼にしっかりあるのが、誰かが声を出した時、皆が反応(レスポンス)を返してくれることです。今の子ども達が一番怖がるのは、自分が何かを発信しても何も反応が返って来ないことです。

狩りをする時、彼らは走りながら眼球の動きだけで作戦の変更を伝えられる。すごく「コミュニケーション」能力が高い。身体的な表情で伝えることもできるし、声でも眼球の動きでもできる。

そして、群れの中では個性が尊重される。一頭一頭が違うということが大切にされる。鳴き方もハウリングも違う。狼は同じ声で鳴かない。いろんな声でハウリングするとハモる訳です。ハモることで他の群の狼達には大勢いるように聞こえるし、その歌声はチカラを感じさせます。また。自分達が深く群として繋がっている一体感を感じます。

一頭一頭が違うということは役割の取り方も違う。皆が力を合わせて、子育てには群れ全員が関わり合います。そういう社会性がある。勿論、狩りは「チームワーク」なので、それぞれが持っている力を最大に発揮して、弱い所を補い合いながら狩りをする訳です。

それともう一点は忍耐ですね。トライ&エラーする力はものすごく強い。狼の狩りというのは、6割くらいが失敗なんです。広大な北極圏の狼になると9割くらいは失敗です。つまり、10回に一回くらいしか成功しない。狼達はあきらめずトライ&エラーを繰り返すんです。

今の子ども達は一回失敗したら、失敗することを恐れます。いや、失敗が起こりそうな場面を回避しようとします。失敗したら「もう無理」と言います。狼は狙いを定めた獲物に、2日後、またアタックを試みます。それを繰り返す間に獲物は生命を明け渡すのです。

コミュニケーション、個性が尊重されること、チームワーク、忍耐、この4つの「生きる力」がものすごく高いのが狼なんです。


「それで狼なのですね?」

もう10年以上前から、狼になるキャンプ<ウルフキャンプ>をやっています。小学校の4〜6年生対象のリトルウルフキャンプ、中学・高校生対象のJr.ウルフキャンプ、そして大人対象のBe-Wolf Campをやっているですが、どのキャンプでもこの「狼の生きる力」が、4つの柱になります。

この4つの柱を学びの切り口にして、群(パック)=グループの仲間との関わりを通して、個の力を高めていく。これは単にこういうことが大事だよとか、どうしたらコミュニケ―ションがもっとうまくいくよと教えるのでなく、体験を通して自ら主体的に学び取っていく。

あるシチュエーションで、自分のやっているコミュニケーションのあり方が、相手を傷つけていたり、相手の存在を値踏み(Discount)してしまっていることがあるかもしれません。

日頃のコミュニケーションの取り方はほぼ無自覚です。また、自分が無自覚のまま取っている行動は、実は自分で自分の存在価値を落としていたり、自分でも心地良くないままそうしてしまっているかもしれません。

4つの生きる力を高めることを通して、自分の存在も相手の存在も大切にする=Full Valueなあり方を意識づけ、自ら新しい行動を試みる「心の冒険」をすることが、このプログラムのねらいです。

皆1つ1つが大切な事は知ってるけど、それが自分にとってどうなのか、主体性を自分に置きながら学び行動してみるのです。Full Value(一人一人の存在を大事にすること)を意識して、4つの柱を鍛えていこうとしてるわけです。


「マザーアース・エデュケーションのキャンプには、どんな特長がありますか?」

我々のキャンプは、子どもが参加してそれで終わりでなく、例えばリトルウルフキャンプの場合、保護者の説明会をします。その時に、子ども達の育ちのことや自己肯定感がいかに形成されていくのかお話しする場面があります。

話を聞いた後にお母さん同士がシェアしたり、保護者同士の安心な繋がりを作ることにエネルギーを向けています。そして、キャンプが終わったら<おもい出会>をやります。

子ども達一人一人が、どんな風に変わっていったか、何ゆえにそう変わったのかという我々カウンセラーの見立てをお伝えして、家庭に帰ったらどの部分を大切にして欲しいのか、こちらの想いも伝えます。我々スタッフとキャンパー家族が繋がる場です。


「繋がりを作っていくのですね?」

三段階のアプローチですね。プレキャンプがあって、本番、終わってから<おもい出会>を通して、いかに大切な事を共有していくかということですね。そうなると、今度はお父さんやお母さんが大人版のウルフのキャンプに参加する。

ほとんどの子ども達も親同士もお互い分かっているし、その子らが大きくなってスタッフになって仲間入りしてくるケースも少なくありません。ある種の育ち合う安心な場=homeなんです。それって結局は、僕が子どもの時にあったコミュニティの感じに近いかもしれない。

元々伝統的なインディアンの世界って、拡大家族・テオミパイエという考え方なんです。狩猟採集民だから、拡大した家族として旅をしながら狩りをし、生活を共にし、子どもを力を合わせて育む。


「拡大家族ですか・・・」

だから親を亡くしても、親の代わりの人がいるし、自分の子じゃなくても、自分の子どものように育ててくれる人がいる。それがインディアンのコミュニティ。

その感じに近いものはウルフキャンプのスタイルにも色濃く出ているし、マザーアース・エデュケーションに関わっている人達とのあり方にも出ています。でっかい家族、拡大家族です。

多分、僕が子どもの時にいたコミュニティの中にもあったし、そのしがらみの中で、皆にいじってもらって、ちゃんと存在を見てくれる人がいて、その中で人は育っていくのだなと。

狼から学んだり、インディアンから学んだり、そういうことを偶発的に一杯経験して、そういう繋がりが大事だと強く認識しました。一個一個のプログラムが単発で終わらないようにしていくことが大事ですね。


「火のワークでは、どのようなことをするのですか?」

火のワークも一つの切り口だと思うんです。火というのは、残酷なくらい自分を映し出す鏡みたいなものです。アメリカの先住民にとって火というのは、幸福と同じ意味なんです。つまりある種のメタファーですね。

年寄りが「こうやったらこうなるやろ」みたいな話をしながら薪の組み方を教える。それは薪組みの話をしていると同時に、人が幸せになっていく道のりをお年寄りは話しているんです。つまり、炎が立ち上がるというのは、幸福の炎が立ち上がるようなものです。

僕らがやっている火のワークは、トタン板の上に薪組みをします。両サイドに2メートル位のスティックを地面に突き刺して立ててその間に麻紐を張る。丁度高さ160センチくらい。薪組みした木で、炎が160センチの麻紐を切れるかが課題。それを1泊2日の間に2回トライします。

いろんな火を扱うサバイバル「テクニック」的コツと、インディアンの人達の「あり方」を教えながら、実際に森の中へ行って薪を集めてきて組みます。

炎が勢いよく立ち上がったけどばっしゃんと倒れたとか、炎は一瞬上がるけど全然熱量が上がらないとか。終わってから薪を除けたら、トタンの上に焼け跡が付きますから、どこに中心があったかがはっきり見えます。中心がぶれていたり熱量が少な過ぎたこと等は、その焼け跡から分かります。

薪組みをしていく過程の中に、自分の「今」が映し出されてくる。


「薪組みは独りでやるのですか?」

はい。独りで1個薪組みをやっていく。それを家族でやったら、家族の形が出てくる。箱庭療法のようなものです。一つの形の中に投影されて出てくる。炎は強烈に映し出しますね。炎はどんな環境の中でもできます。雨が降ろうと、風が強かろうと、どんな時でも。

それは先住民の智慧の中にあります。どれだけ雨が降っていても、炎を舞き上げることもできるし、力強い熱量を生み出すこともできます。

ということは、どんな環境にあっても、人は幸せでいれるということなんですよ。もし、自然の生命の「今」を主体にし、寄り添い分かろうとすると、自然の方から「私達はこうHelpできるよ」と助けてくれる。

火のワークは、まさに自分が幸福になるための道筋を示してくれるし、今までの自分のあり方を映し出してくれる。ちょっとだけコツを知ってくると、全然炎の立ち方が変わってきますね。

「こういうことを私は見落としていたんだな」とか「こんなものがあったのに全然見てなかったな」とか、そのワークを通じて、一つ一つ見えてくるんじゃないですかね。火を通して、自分のコアが育っていくっていうことですかね。本当に自分にとって大切なものが何か、ということです。



インタビュー写真




主体と主体で、互いに物語の主人公になれるような生き方を


「様々なワークを体験しながら、気づいたり、学んでいくということでしょうか?」

そうですね。日頃、そのまま受け止めてもらえることってあまりないでしょう? 人の話を聴きながらも、「でも、こうでしょう?」って言われたりする。遮断されたり、「お母さんはね」ってお母さんの話に転換されたりとか、結構多いと思いますよ。

実は、子ども達本人を主体にしてちゃんと聴いたりしていることって意外と少ないかもしれない。言い換えると子ども達は、物語の主人公になってないかもしれないですね。物語というのが僕らのキーワードかな。


「物語・・・ですか?」

僕がカウンセリングして話を聴いている時や、ワークショップの参加者の語る事に耳を傾けている時、物語を聴いているような感じになっていくのです。多分カウンセリングは、物語作りを手伝っているんだと思うんですね。ストーリーメーカーみたいなものかな。

つまり日常の体験は、それがストーリーになってないよね。瞬間瞬間、無自覚の内に自動選択でやってしまってることが大半で、それがずっと続いているけど、体験ばかりか、もしくはしゃべっているけど語っていない。

人は誰かに分かってもらう様に語った時、自分が何を経験しているのか、つまり、どんな時どんな気持ちになったり、どんな反応・行動を取っていたのか認識できる。体験が経験化されて初めて物語になる。

僕らが話を聴いてる内に、「ああそうか。こういう思い込みやこういう信念が、こういう行動を選択させて、こんな風に出来事を引き寄せながら物語を作ってきたんだ」ということに、気づいていく。


「沢山の学校の活動に関わっていらっしゃいますが、その中で感じることは?」

学校のプログラムに入る前に、最初にヒアリングに行きます。担任の先生は「うちの子達は、まあまあ落ち着いてると思うんですよ。ただ、もうちょっと自分の思っていることがはっきり言えたり、もっと積極的にねー」と言います。保護者の人もそうですね。

積極的か消極的か、というこれは、ものすごく見え易いところですよね。なぜならこれは、表出の仕方だからです。僕らはこれを横座標doing軸と言っています。〜している、行為のことですよね。

積極的な子だったら、僕らが「次、こんなことしようか〜」と、アクティビティを提示すると「やるやる。何するの?」と言う。どちらかというとアクティブな言動をします。

消極的な子になると、「次、こんなことしようか〜」と言うと、「無理」とか、反応しなかったりとか。そんなのを見ながら、大人は積極的になったらいいなと思っている訳ですよ。

僕らがフォーカスしているのは、この積極性・消極性の表出的な横軸doing軸ではなくて、主体性が高いのか、主体性が低く客体性が高いのかという縦軸being軸なんですよ。これは、表出の仕方ではなく、存在の仕方ですね。主体性の高い人は、あるがまま度が高い人と言えます。


「being軸の、主体性にフォーカスしているのですね?」

自分がどうしたいのか、自分を主体にするということは、自分が自分の人生の物語の主人公になっているということです。その逆は、他人がどう見ているか、どう思われているか。なりたい自分でいるというよりも、見られたい自分でいるという感じですね。

先生も勘違いするし、大体の人が勘違いするのは、積極的な子=主体的だと思っていること。違いますよ。必ずしも、積極的な子は主体的ではないですよ。

例えば、鬱状態の人や引きこもりの人は、主体的に消極的な態度を選んでいるということです。不登校の親御さんに「お子さんは、今、主体的に消極的な態度を取っている時ですね」と話すと、「そうか主体的なんだ!」となる。「ものすごく自分とちゃんといる時ですよね」と言うんです。

反対は、積極的で客体性が強いという人です。例えばある県下で最も学力が高くて身体能力も比較的に高い高校に行った時のことですが…。それは立派なものです。クラスに入ってプログラムをしてみるとどの子もみんな明るく表現できます。

アクティビティの中にエレクトリックフェンスというのがあるのですが、これは、2日間のプログラムの中で、お互いがコミュニケーション取れるようになって、信頼関係が生まれて、問題解決できる力もついて来て、最後にやるようなのがこのアクティビティなんですよ。

何回も失敗しながら、場合によっては分裂しかけたり、ドラマを繰り返しながらやって、1時間半位かかるものなんですが、この高校の生徒はこれを10分でやります。積極性はすごく高くて、課題に関してはきちっとできる。だけど明らかに大切な何かが欠落していることに気づいたんです。


「それはどういうことですか?」

我々が人間関係トレーニングのプログラムをする場合、一つのアクティビティの体験をしたら必ず振り返りを丁寧にする訳ですよ。どんな時にどんなことが自分の内側で起こり、その感情がどんなことを選択させたのかを振り返る時間があるんです。体験を経験化=主体的物語化させるためです。

「どんな時にどんなことが起こったのかあるがままを書いて」と言うと…。何を書いていいか分からないんです。「どうやったらもっと早く効率的に課題ができたか」というdoへの問いには答えられるけれど、自分を主体にしたbe(どのように存在しているか)には、応えられない。

そんなにレベルの高い学校ではなくて、結果的に時間切れになって課題は達成できなくても、振り返り用紙は書けるんですよ。「私がこう言った時、皆がうなずいてくれて嬉しかった」とか、体験したことが自分にとってどうなのか、自分の事を主体的にして書けるんです。

つまり、最初に話した比較的エリート校の彼らは、育ちの中で「できる=うまくdoできる」という認められ方をしてきた背景が想像でき、結果的にその「有能感」にしがみついて存在できる、大切な人から切れない安心感を育んできたストーリーがあるのではないか。

自己肯定感とは、“私は、あるがままで存在していてOKな安心感”です。あれもこれもできない、そんな私でもそれでも大切だよ…という安心感をもらえる愛を十分にもらってできる感覚で、人を一本の木に例えると「根」にあたる部分です。beingが認められることで育ちます。

根っこではなく、枝葉の「できる」という所で認められたり、自分の存在理由を見つけたり、ということが起こってくると、積極的に客体的に生きていることになります。


「積極的に客体的に生きている状態だと、どうなるのでしょう?」

人の期待に応えられるのだから、うまく行ってる時は評価は高く、大丈夫なんだけど、doがうまくいかなくなったら折れるんです。枝ぶりはすごくいいけれど、根っこがしっかり生えていないから。

根っこがしっかりしてて、幹の部分にあたる「自信」があると強い。それも根拠のない自信がある人が本当に強いよね。根拠がないって、根がないって書きますが、根はあるんですよ。根拠のない自信は、自己肯定感に根差している訳。

それで折れたらどうなるか。今度は、主体的に消極的に生きる側に来るんです。時には鬱になって引きこもって、「何で生きているんだろう」って、初めて自分の人生の物語の主人公になろうとする。


「物語の主人公になる?」

我々がやろうとしているのは、消極的か積極的かということではなくて、物語の主人公にしようとしている。でも主人公になるには、自分を主体にしないといけない。人の期待に反応するのではなく、その事が自分にとってどうなのかに反応するあり方に、見方の転換を起こすことです。そういう投げかけが必要だと思っている。そうでないと、主体的になりようがない訳ですよ。

バブルがはじける頃までは期待に応えればよかったから、積極的・客体性である方がよかった訳です。でも今、人事の採用担当の人が「仕事がない訳ではなくて、本当に欲しい人がいないだけです」とよく言われるのは、そのあたりの事を言っているのではないかと思います。

多少、引込み思案でもパフォーマンス能力が低くてもいい。だけど、自分があって、「どう思う?」と訊かれたら、「私は・・・」と言える人が欲しい訳。問題解決できるって、そういうことなんですよ。起こっている現象面だけでなく、現象の背後にある本当の問題を自分の事として課題化し、そこに主体的に取り組もうとするあり方が問われているんです。

それには、ちゃんと自分が物語の主人公になっていないと。だから、僕らは物語ってことにすごくこだわる訳です。母親の物語を生きて来た人は一杯います。人からどう見られるかが気になる客体性の強い人に、母子コントロール関係を持つ人が多く見られます。

私はプログラムの中で神話の語りをよくしますが、「人がどんなことに悩んできたのか」って、実はもう神話の中にほとんど全部表現されている。ということは、人類始まって以来、人の中にいるモンスターや人が怖れているものって、そんなに変わらないんじゃないかな。

だから神話の中にあるモチーフ、例えば、「親殺しの神話」。「親殺し」ってものすごく大事だと思うんですね。特に自分が自分の人生の物語の主人公になって生きていくために。


「親子関係の問題ですね?」

親は自己肯定感の高い子を育てようと思ってその子を主体にしているつもりでも、やっぱりその子が困らないように育ててやろうと思うから、ついついコントロールしてしまう。コントロール関係って、学校の中でプログラムをしてみると、今の生徒達の中にはものすごく多い。

女子特有のややこしい関係って今も昔もありますよね。昔は5〜6人だったけど、今の子はペアです。周りを気にするって、ペアの子がどう思ってるかですね。どっちかが支配していて、もう片方が支配される側のコントロール関係です。

メール打ったら10分以内に返す。トイレは一緒に行く。ピンピンのロープで繋がっている感じで、これを「強い絆」って呼んでいます。「強い絆」は危険やね。

関係性の結び方をこれしか知らないから、今度は違う集団に入った時に、支配されていた子が支配する子になったりします。主体と客体の関係しか知らなくて、主体と主体になる関係なんて知らない。でも、信頼関係がちゃんと生まれてきたら対立できるはずなんです。

信頼関係っていうのは、「大丈夫」っていう感覚です。対立もできるし、時にはぶつかることもあるけれど、「でも大丈夫」「この子とは切れない」そう思える。この場合は、ロープはピンピンじゃなくて、たるみがあるんです。たるみのあるロープの繋がり方は「深い絆」です。

でも、このピンピンの関係は親子関係の中にもある。「どこ行くの。誰と会うの。何時に帰ってくるの。絶対まだ無理なんだから、お母さんが全部やっとくから、もうやめなさい!」とか。でも自立させたいとか言ってる訳ですよ。

これが段々ロープが伸びていくと、この子はどこでも行けるようになってくる。「転ぶかもしれないけど、でもちゃんと自分で立ち上がれるし、いよいよ困ったら誰かに助けてって言えるから、あの子は大丈夫」って、これが親子の信頼関係。「深い絆」です。


「コントロール関係から信頼関係へ・・・ですね?」

コントロール関係が母親の支配にあるっていうことは、子どもは母親の物語を生きなくてはならないということ。母親の思い込み・見方に取り込まれていく感じ。だけど、どれだけこれがまずいか。

コントロール関係じゃないものを作りたいって思っていても、やっぱり親は、どこかでコントロールするんだよね。元々保護してるから、どうしても母親はそうなる。愛がないわけじゃない。愛があるからタチが悪いんだよね。

自己肯定感がちゃんと育って、深いところでちゃんと繋がってる深い絆ですね。強い絆ではなくて、深い絆。それがちゃんとできたら反抗できる。それが反抗期です。

だからよく反抗期で悩んでカウンセリングに来られるけど、「お母さんよかったですね、反抗期が来て。それはよく育った証拠ですよ」って。大体14歳とか15歳ですよ。普通は2年、長くてもたかだか3〜4年です。

でもそこで親のコントロールから離れるんですよ。つまりその時にちゃんと親を否定する。それが「親殺し」です。親殺しの神話がどれだけ多いか。


「自然の中での活動には、どんなパワーがあるとお考えですか?」

自然は人を自然にしてくれます。ある種もう一度、野生を取り戻させてくれるんです。野生というのはあるがままを取り戻させてくれる。部屋の中でどんなプログラムを用意するよりも、自然という大きな仲間の中でプログラムをするのがどれだけ力が大きいか。

そして、自然のことを熟知しているインタープリターって呼ぶのが良いのか…、そのプログラムを回す人が自然のことを理解していたら、その自然の生命が一番効果的に、そのしかるべき場面で一番いいパフォーマンスをしてくれます。自然を味方につけながら、人に影響を与えていくことができるんだと思います。

でも何よりも、自然は自然だと思います。自然の中にいる時の方がやはり人は自然になります。そういう意味では、自然って大きい。計り知れないです。優しくもあり、怖くもあり、厳しくもあり、温かくもあり。


「悩みを抱えている方へ、メッセージをいただけますか?」

短い言葉で言ったら、人はやはり物語を生きてるんだなっていうことかな。でも物語が生まれるためには、そこにちゃんと一緒に居て、聴いてくれる人が絶対に必要だということは知って欲しい。

それは多分、今ここで一緒に息をして、共にそこに居て、聴いてくれる人が居て、初めて物語とかその人の神話が生まれていくだろうなって思いますね。物語はとっても大事だと思う。

それともう一つは過去は変わるということです。これはもう絶対に間違いなく。高校生なんかは、キャンプのオープニングで、「過去は変えれるで、過去は変わる」って言ってやるだけでも安心する子、顔がフッと上がる子がいます。

「昔読んだ本とか、もう一ぺん読んでみ。こんな物語やった?って思う事ないか? それは今が変わったからやで。君が事実やと思っている事は、その時の君の物の見方で受け取ったものが事実やと思っているだけで、今が変わったら、変わるんやで」って。

「それと他人は変えられへんで」って。「もし、君が自分の都合の合うように、誰かを変えていったら、それは間違いなくコントロール関係。支配する側とされる側になってるで」ということ。この二つを大事なメッセージとして伝えたい。

主体と主体で、物語の主人公になれるような、互いにそんな生き方ができたらいいなって思います。


「今後、どんな活動をしていきたいというのはおありですか?」

珍しく、一つだけしたいなって思っていることがあって、それは派手なことではないんだけど、物語の語りをしたいんです。神話の語りです。

僕のキャンプのオープニングは真っ暗闇の中で、僕が神話を語るところからスタートするんですけど、どのプログラムも割と神話が出てくるんですよ。実は、神話がプログラムの目的や狙いを緩やかに説明していることが多いんですよ。

つまり「この神話世界を皆さん今から経験するんですよ」みたいなことをオープニングですることが多くて、だから神話の力って大きいんだなって、僕は最近ものすごく思うんです。

どんなちっちゃな子どもでも、神話が始まると聞くんです。読み聞かせの会で聞けない子が、神話になった時はちょっと違うんです。意識の状態が違うのかもしれない。

ストーリーテラーとして語りたいなって思うし、神話を語って、ちょっとシェアするみたいな、そんな場をこれからやっていきたいと思っています。

常に自分を壊すことをしたその中で、今一番したいことが「神話の語り」なんです。




<編集後記>

大切な何かが失われつつある現代の日本。
地球に生きるものにとって大切な精神とは、暮らしとは、自然とは、
語りつがれてきた神話たちが意味することとは?

つながり抜きでは生きていけない地球において、
キャンプや自然の中でのワークショップを通して、全てはつながっていることを
体感するプログラムを展開されているお話をお伺いして、

  「自然の中で人は、自然になれる」

この言葉が、とても心に残りました。

あるがままの自分、自然な自分を受け容れることこそが、
自己肯定感という根になるのでしょう。

自然の中では、自然にすべてを受け容れていくことができるのかもしれませんね。



次回号「病気は才能! 症状は、自己表現で使うべきエネルギー」→

←前回号「セルフリぺアレンティング(自己再養育)で、ラクになる!」


インタビューTOP(目次)

-ご案内- 松木 正 先生 マザーアース・エデュケーション


松木 正(まつき ただし)  マザーアース・エデュケーション主宰
                  チーフ・ディレクター

大学在学中、キャンプカウンセラーとして小学生・中学生を対象とした教育キャンプに携わる。また在学中、自身がうつ病を克服していく過程でカウンセラーと出会い、教育の現場にカウンセリングの手法を用いることの可能性を探り始める。
卒業後、大阪YMCA六甲研修センターに奉職。「体験学習法」を用いた企業研修や幼稚園児から大学生までを対象にカウンセリングの手法を用いた野外教育(キャンプ)を実践。
YMCA在職中にアメリカの環境教育に出会い、本物を目指して渡米。全米各地で環境教育のインストラクターをする中でアメリカ先住民の自然観・宇宙観・生き方、またそれらをささえる儀式や神話に強く引かれ、サウスダコタ州シャイアン居留区に移り住みスー・インディアン(ラコタ族)の子どもたちの教育とコミュニティ活動をしながら伝統を学ぶ。
現在、神戸でマザーアース・エデュケーションを主宰し、“自分をとりまく様々な生命(いのち)との関係教育=環境教育”をテーマとし、独自の環境教育プログラムを展開。
小学校・中学校・高校での人間関係トレーニング、また保護者に向けてのワークショップ・子育て講座、アメリカ先住民の知恵を前面に打ち出したキャンプの企画と指導、神話の語り(ストーリーテリング)、教育的意図をもった企画講座、自宅横にワークショップ棟(ストロングホールド)を構え、個人カウンセリングと独自のワークショップを展開中。


<マザーアース・エデュケーションのHP>
【マザーアース・エデュケーション】


<松木正先生の著書>

cover
自分を信じて生きる―インディアンの方法







インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)
鈴木明美
セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト
日本ゲシュタルト療法学会・GNJ会員
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren

インタビュアー:前田みゆき(まえだ みゆき)
前田みゆき
身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中

インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)
脇坂奈央子
『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント



運営管理:ラポール☆脇坂奈央子





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