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あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」 インタビュー集


カウンセラーやセラピスト、セミナー講師など「こころの現場の最前線」で活躍されている方の横顔を紹介します。

 ・カウンセラーってどんな人なの?
 ・カウンセリングって、どうやって受けるの?
 ・私も将来カウンセラーになりたいのですが・・・
 ・・・などなど


「こころ達人の横顔」をインタビューしてきました。
あなたにとって、カウンセリングやセラピー、ヒーリングがもっと身近になれば幸いです。

- 上田 信行 先生 同志社女子大学 -

   「自信には2つある。『他者込みの自信』で、自分の可能性を広げよう!」

2013年 04月 6日


今回のインタビューは、「プレイフル・ラーニング」をキーワードに
実験的ワークショップを数多く展開されている同志社女子大学教授の
上田 信行(うえだ のぶゆき)先生です。

上田先生は、奈良県吉野川のほとりにある「ネオミュージアム」館長
でもいらっしゃいます。
「ネオミュージアム」は、ラーニングデザインの実寸大のリサーチスペース。

人と人とが出会い、コミュニケーションをとおして生まれる「学びの未来」や
「憧れの最近接領域」「ワークショップとは」「ファシリテーターの役割」などに
ついて、最先端のお話を伺って参りました。


教育って、楽しくていいんだ!

インタビュー写真




「子どもの頃は、どんなお子さんでしたか?」

小学生の頃は、結構おとなしくて、活発に何かをするというタイプではなかったですね。中学の時はボーイスカウトに入りました。ボーイスカウトの隊長が登山部やスキー部の顧問をしておられましたので、その関連で登山やスキーをやりだしました。

高校時代は音楽がすごく好きだったので、ちょうどその時フォークソングが流行り出していたこともあり、フォークギターを買って友人達と一緒に歌っていました。音楽を仲間とやり始め、アメリカのフォークを歌っていましたので英語にも興味が湧き出しました。

1年間浪人をしたのですが、浪人するだけではもったいないと思い、イングリッシュハウスという英語で生活するところが家の近くにあったので、そこに行っていました。そこの館長さんが「これからは世界に視野を向けないといけないよ」といつも言っておられたので、半分英語の勉強をしながら、受験勉強をやっていたという感じでした。

京都ではフォークソングが盛んだったし校風にも惹かれて、僕はどうしても同志社大学に行きたかったのです。新島襄の「新しいキリスト教主義の学校を創る」という開拓精神にも憧れを感じていたんです。


「入学後はいかがでしたか?」

大学に入ってから、だんだん活動範囲が広がってきました。大学に入った時にはカナダ、アメリカツアーに行きました。この旅行が僕の大きな転機になったのです。

カナダに行った時、こんなに大きな国があるんだとショックを受けました。その時にこれは本格的に英語を勉強しなくてはダメだと思ったのです。大学では、フォークバンドを作ってたくさんのフォークソングイベントに出場し、国際理解のクラブにも入って、外国の文化や英語の勉強とかがむしゃらにやりました。このことが今の仕事のベースになっているような気がします。


「カナダで衝撃を受けられて、その後は?」

海外にもっと目を向けないといけないと思い、カナダ旅行後、同志社の国際理解のクラブに入りました。DESA(デッサ) Doshisha Exchange Student Associationというのですけど、そこで、新島襄の精神、国際友愛精神をたくさん教えてもらいました。それと音楽活動を同時にしていました。

DESAのクラブを3年で引退後、カナダ・アメリカスキーツアーを自分で組んで、旅行会社みたいなことをアマチュアで始めました。「カナダ研究所」と名付けてカナダ旅行などを企画しました。それがものすごく面白くて、こんな仕事をやりたいなと思っていたんです。

大学4年の時に、NHKで「セサミストリート」の放送を初めて見たんです。アメリカ的でポップな感じで、音楽が楽しくて。「これ何?」と思って聞いたらこれが教育番組だという。「教育って楽しくていいんだ!」というのが、衝撃でした。それが今も僕の原点になっています。

それまで、教育や勉強っていうのは大変だというイメージがあったのですが、セサミストリートを見て教育に対する考え方ががらっと変わりました。それと同時にテレビなどのメディアに興味を持つようになりました。

このセサミを見た衝撃がきっかけで、セサミストリートを勉強したいと思ってアメリカに留学しました。


「アメリカに留学して、セサミストリートを学ばれていかがでしたか?」

最初、日本の方に紹介していただいて、セサミストリートの研究は視聴覚教育になると言われて、ミシガン州の教育系の大学院に行きました。アメリカに来たからにはセサミストリートを勉強したいと思って、冬休みにニューヨークのスタジオに行きました。衝撃的だったんです!

制作スタッフのみなさんが、大きなミッションとヴィジョンを持ちながらすごく楽しそうに仕事をやっている光景を見て、でこういう人達の中で学びたかったんだと、その時、強烈に思いました。

CTW(Children’s Television Workshop,現在、Sesame Workshop)という組織がセサミストリートを創っていたのですが、そこの人達にハーバード大学でセサミストリートを研究しているよと言われ、ジェラルド・レッサー(Gerald Lesser)先生という方に会ったらとサジェスチョンをもらいました。その足でボストンに飛んで、ジェラルド・レッサー先生にお会いしたんです。

彼にここで勉強したいと訴えたら、「すぐ願書を書きなさい」と言われて、僕は必死で思いのたけを願書にたたきつけました。結果は、本当に幸運だったのですが、受かったんです!

その年の9月からハーバード大学教育大学院(Harvard Graduate School of Education)で学び始め、大きく世界が変わりました。世界中からいろんな人が集まってきて先端の研究をしていましたから、もう夢のような時間でした。「教育は面白い!」と心の底から思いました。


「帰国後はどんなお仕事を?」

日本に帰ってきて、NHKで「おかあさんといっしょ」の2歳児を対象とした新しいコーナーを創るということを聞いて、リサーチャーとして仲間に入れていただきました。

帰国後、大阪の帝塚山学院大学という所に就職していましたが、毎週東京に行って「ハイ・ポーズ」のコーナーなどに関わらせていただきました。アメリカでやっていたことを活かせる!と思って、テレビ番組開発の研究に取り組み始めたのです。

6年間ぐらい帝塚山学院大学に勤めていたのですが、30歳になった時に、もう一回ちゃんと基礎から勉強し直そうと思って、大学を辞めて再度アメリカに行きました。そこでテレビについて勉強しようと思ったのですが、時代はコンピュータだったのです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)が近くにあって、そこでセイモア・パパート(Seymour Papert)という先生がLOGOという子ども向けのコンピュータ言語を開発していて、子どもの教育へのパワフルな応用研究が始まっていたのです。


「それはどういったプログラム言語だったのですか?」

子どもが自らプログラムすることによって、積極的に学んでいける。今まではコンピュータが子どもをプログラムするという感じですよね。そうではなくて子どもがコンピュータをプログラムする。自分でプログラムを書いて世界に働きかける、という大きな思想転換だったのですね。

子どもは教育を受け身的に受け取るのではなく、自らの学びは自分でデザインする。知識や解釈は人から教えられるのではなく、環境や他者と交渉しながら自ら作り上げていく。今まで、勉強は知識を覚えることだと思っていたので、「これは全然違う。すごい!」と。これを構成主義的学習観というのですけど、そういうドキドキするような新しい考え方に感激しました。

これからはどう教えるかではなく、どういう学びの環境を作るかということ、つまり「学習環境デザイン(Designing Learning Environment)」がこれからの教育の中で大きな位置を占めると思いました。

セサミストリートの時は、いかにテレビを使って教えるかということだったんですが、今度はどんなEvocative(触発的で喚起するよう)な環境を作れば、子どもはイキイキと楽しんで学べるかという、研究の大きなパラダイムシフトが起こったんです。


「その後はどうなさったのですか?」

ハーバードでモティベーションの研究をしているキャロル・ドゥエック(Carol Dweck)という先生がいらして、子どもはどんな考え方を持つとやる気をだすのだろうかということを研究なさっていました。

僕はそこにすごく関心があったんですね。キャロルがやっていたのがマインドセット(mindset) で、僕は「心の姿勢」と訳しているのですが、自分の可能性や世界に対してどういうイメージを持っているかで、モティベーションは変わる。性格ではなくて考え方だと。彼女は認知(cognition)の問題として動機づけの研究に取り組んでいたんですね。

それをベースに2009年に『プレイフル・シンキング』という本も書かせていただいたのですが、何か課題が出された時に「Can I do it?」と考えるタイプと「How can I do it?」と考えるタイプがいると。

僕達は、できるかなと悩むことが多いですが、もし、課題をもらったときに、最初からHowで考えられれば、ポジティブに一歩踏み出せる。どうやってこれやろうかという風に。だから、CanからHowに変わるにはどうすればいいかと考えてきたのです。その時に浮かんだ考え方が、「How can we do it?」という考え方。誰とだったら、これができるか?つまり、他者の存在ですね。


「誰とやるか・・・ですか?」

あの人とだったら、この道具を使えば、こんな条件だったら、と全て前向きに考えられる。そういった姿勢を持つことによって、ものすごく大きく変われるじゃないかと思いました。

人間が悩むのは一人で抱えるからであって、もっと前向きに人を頼ればいい。寄りかかって頼るのではなく、相手と一緒になって、相手を信用して頼る。そういうことで僕は大きく変わった。

じゃあ、みんながHowに変わるような場を作るにはどうしたらいいか。実践的に研究をやっていこうと思いました。それで帰国後、このような学びを実現するフィールドとして奈良県吉野町に「ネオミュージアム」を創りました。実験的にスタートしたのです。どうやったら自分の可能性を信じて、いろんな人と協力して生きていけるか。

多分、悩んでいる人は一人きりで悩んだり、自分はダメだと思っているけれど、自分に注意を向けないで、外に注意を向ける。課題が出た時に、自分にできるだろうかと自分を見るのではなく、課題を見る。そして、どうやったらできるのかと考える。

そうすると全部外(課題)に注意が向いていますから、あまり落ち込んだりしないですね。僕ももちろんしょっちゅう落ち込むのですが、こう考えようと思って、自分で努力して、考え方を変えてやっている。特にいい仲間と共に生きるというのが、大切だと思います。



インタビュー写真




自信には2つある。『他者込みの自信』で、自分の可能性を広げよう!


「先生にとってワークショップとは?」

僕がワークショップを始めた頃は、この言葉はあまり使われていませんでした。いろんな人が集まって何かを作り出そうとするものに名前がなかったのですね。それでふとセサミストリートのプロダクションが「チルドレンズ・テレビジョン・ワークショプ(CTW)」という名前を使っていたのを思い出して、この言葉を使おうと思いました。その頃僕は、CTWのことをテレビ実験室と訳していました。

ワークショップは僕にとっては、いつも実験室なんです。みんなで集まってグループでやるからワークショップではなくて、何か新しいものを創っていこうという実験的スピリットが入っていることがすごく大切で、何が起こるかわからないことに面白さがあるのです。

僕らは何が起こるかわからないこと、変化に不安を持ちますが、これからの時代は変化を楽しめないといけないし、自分の可能性を試していかないと。自分の殻に閉じこもれば閉じこもるほど住みにくい世界になりますね。世界がどんどん動いていますから。

ですからそのためにはチャレンジし、試して直していけばいい。長い時間をかけて計画を立てるというより、やり始めて、やりながら修正していく。ワークショップを通してそれを学んでいこうと。ワークショップは場だし、装置です。いい仲間のいるところに自分の身を投じて行ってください。


「仲間と、やりながら修正していくのですね?」

ロシアの心理学者ヴィゴツキーが「発達の最近接領域」という概念を発明したのですが、僕はこの概念がとても好きです。一人じゃここまでしかできないけど、誰かと一緒だったらここまでできる。この可能性のゾーンを彼は発達の最近接領域と呼んだんです。自分一人でここまでいくのは時間がかかる。でも誰かのサポートがあれば今日実現できるかもしれない。

僕はこのアイディアを借りて(appropriateして)、「憧れの最近接領域」という概念を創りました。この場にいれば憧れに手が届く。僕はよくジャニーズの例を出すのですが、例えば嵐の後ろでジャニーズジュニアが踊っている。ジュニアにとっては、嵐の舞台に一緒に立つこと、この舞台そのものが憧れの最近接領域なのです。ここで踊っていれば次には必ず前にいける。そういうようなことが、人間を可能性へチャレンジさせていくのですね。

根性論ではなく、ものの考え方や他者のサポートによってあきらめずに前に進んでいける。人間一人では弱いし脆いかもしれないけど、いい友達・仲間を持つことによって可能性を広げていける。

全てが個人の中にあると考えると、落ち込むかもしれないけど、可能性は、状況や仲間の中に存在するんです。僕の能力は僕の中だけにあるのではなく、この環境の中にある。今だって、みなさんが聞いてくれているから僕は話ができている。だから場作りが大切なんです。


「ネオミュージアムで、その場を創っているのですか?」

はい。そんな場を創りたかったのです。憧れの最近接領域を! だけど、ネオミュージアムの実現には少し時間がかかりました。まず始めたことは、今まで両親と一緒に住んでいた自宅の部屋を改造して小さなラボを創りました。いつでも人が集まって来て、モノづくりが出来るスタジオです。

たまたま僕の友人が音楽をやっていたので、音楽を創るラボ、Laboratory of Music Technology(LMT)を立ち上げました。そこに平日の夜や週末に30人ぐらいが集まって音楽をレコーディングしたり、ミニライブをやっていたのです。

LMTを創るために部屋を改造して音楽スタジオを創っている時に強く感じたのですが、空間の持つ力はすごいと。ほぼ手作りで出来上がった音楽スタジオに入るとドキドキして、音楽が創りたくなり、創れそうになるのです。場が持つ力はすごいなと思いました! 音楽を創るためのオーセンティックな場が僕達をevoke(喚起)させるんだと。

その後、6〜7年このラボで活動した後、1990年の末に奈良県吉野でネオミュージアムをスタートさせました。ネオミュージアムという名前は、ミュージアムなんだけれど、従来のミュージアムではないという意味でつけました。ネオ、つまり新しいミュージアムという意味を込めて。

ミュージアムには展示物があります。ネオミュージアムには何も展示物がないのですが、その場で起こるコミュニケーションや学びを展示するミュージアム、これこそが次世代のミュージアムだと叫んで様々な試みをしました。展示物ではなく展示事。出来事を展示するミュージアムとして。

活動を展示したり、コミュニケーションの現場を展示する。博物館ではなく、出来事の「博事館」だったのです。今でこそ、このコンセプトは受け入れられますが、当時は、そんなのミュージアムじゃないと、さんざん言われました。だけど絶対そういう時代が来ると信じていたのです。


「空間に興味を持たれたきっかけは?」

空間ってものすごくパワーがあると思います。例えば、ヨーローパの教会に行くと一歩足を踏み入れただけで、荘厳な空気に包まれますね。美術館もそうですね。作品はもちろん素晴らしいけれど、空間が醸し出している空気感が作品にポジティブなエネルギーを与えているように思います。

僕は空間だけでなくコミュニケーションやアイディアを喚起するツールにも興味を持っています。学習環境のデザインは、空間と道具と人と活動で成り立っています。その4つのインターラクションをどうデザインするか、がポイントなんです。


「空間・道具・人・活動の4要素なのですね?」

学習環境デザインとは、どんな空間で、どんなツールを使って、どんな人と一緒にどんな活動を創り上げるかを考えることなんです。最近はこの4つの要素に加えて、「食」ということもすごく大切だと思っています。

「食べること」をうまく活動の中に取り込めれば、コミュニケーションがより活発になります。喫茶店やカフェも、コーヒーが飲みたいのではなく、その場に行って話したいんです。そういうことを大事にしたい。環境や状況、場が大切なんですね。


「先生にとってメディアとは?」

メディアってコミュニケーションを何倍にも楽しめるもの。考えを触発するものだと思っています。僕は「五感+メディアセンス」が大切だと言っています。

五感でヴィヴィッドに感じるって、人間にとってとても大切なことですね。メディアセンスというのは、感じたものを自分で統合して、思いを表現するセンス。自分の五感を使ってコミュニケーションするセンスなんです。

「リテラシ―」と言うと「教育すべきもの」という感じになるので、センスという言葉を使いたいんです。日常の中で磨かれる感覚です。


「メディアセンスですか?」

これからは「センス」を磨いていくというか、自分の「センス」を磨くのにどこに行けばいいかとか、どんどん外に出て、多様な人達と交流していかれたらいいと思うんです。そうやって、「センス」が身についていく。

空間もメディアだし、使う道具もメディアだし、もちろん他者もメディアですよね。人も空間も道具も全てうまく活用して自分を表現する。そのためには、五感が覚醒してないと。まず感じ取れないとダメだから。メディアセンスをアウトプットと考えて、五感はインプットとしましょうね。

アウトプットすればするほど、インプットが鋭くなってくるんですね。だからその循環がすごく大事で、よく見るためには見た物を表現しないといけないんですね。デッサンがまさにそれで、よく見るということの訓練だと思います。見る力、聴く力を育てるためには、逆にアウトプットしなければならないのです。


「学びはアウトプットと書かれていますが、アウトプットの良さは?」

僕達は、学ぶと言うとインプットだと思いますよね。でも僕達が本当に学べる瞬間は、誰かに思いを伝える時なんです。今、インタビューを受けながら、考えて話していますよね。このプロセスの中で沢山の気づきや発見があるんです。

何かを伝えようとする時にどこがわかっていて、どこが曖昧かかがわかりますよね。話すことで「ここわかっていないな」と思い直したりできるのです。ただ聞いてるだけではわからないですよね。みんな学びはインプットだと言いますが、アウトプットだと言い切ることで、違う面が見えてきますよね。


「プレイフルという言葉について教えていただけますか?」

この言葉は、日本語にするのが難しいのですが、もともと僕は子どもが夢中になって遊んでいる時、何かに没頭している時の精神に興味がありました。遊びそのものではなくて、playful spiritに関心があったのです。

プレイフルって不思議な言葉でしょう。ひとことで言えないけど、何となくわかりますよね。「今日のインタビューはプレイフルにやりましょう」とかね。そのまま訳すとプレイに満ち溢れているということです。

真剣に何かに関わっている時のあのドキドキワクワクする気持ちがプレイフルなんです。好きなことをやってる時に感じる興奮と楽しさ、だんだん引き込まれて面白くなっていく。ものごとを楽しくするのではなくて、「楽しいことの中に素晴らしいことがいっぱいある」という考え方なのです。

みんな「楽しくやりましょう」と言うけど、楽しいからこそ学びが溢れていて、楽しくなければ素敵なことが起こらない。それを強調した言葉が「プレイフル」で、生き生きと真剣にものごとに関わっていくattitude、姿勢なんです!

いつも、どんな時もワクワク感じようというポジティブな姿勢、心意気というか、心の姿勢というか。すごく大切な言葉なんですが、なぜかこの言葉にぴったりする日本語が思いつかない。「遊び心」と言ってもちょっと違うし。僕は人に説明する時は、憧れに向かってものごとに真剣に取り組んでいる時に感じるあのワクワク・ドキドキ感、と言っています。


「義務教育の間は、先生が教えていることが多いようですが、どうお考えですか?」

義務教育では、子ども達はしっかりと学びの姿勢を身につけてほしい。学校が学びの共同体として機能し、教師同士、教師と子どもたち、子ども同士が共に学び合い、真剣に学ぶとことの楽しさをぜひ義務教育の間に経験してほしいと願っています。そういう意味で教師の役割はとても重要だと思います。教師が学びの姿勢を見せるという意味で。

これからは、知識は別に学校でなくても得られるので、学校の役割が変わってくると思うのです。知識はインターネットなどで学んで、学校はその知識を活用して仲間と共に新しい理解を創り上げるところ。実際の社会の中に出て行って積極的にフィールドワークをし、協同的リフレクションを通して自分の行動を意味付けるところになってくると思います。

学校は、知識をアウトプットする場に確実になってくる。インプット型の学校からアウトプット型の学校に変わる、丁度今、過渡期だと思います。


「今、大学の役割をどのようにお考えですか?」

大学の役割は、幼児教育と同じくらい重要だと思っています。小学校に入る前の早い時期の教育環境ってすごく大事ですね。それと同じくらい大学教育も大切だと思っています。もちろん小中高も大事なんですけど、受験勉強があるので大胆な教育改革が難しいですね。その点、大学は自由度が大きい。今、どの大学も必死で大きく変わろうと努力をしています!

大学って、自分の経験を新しい知識と結びつけ、仲間や先生と議論しながら新しい解釈や考え方を再構成し、生産する場所ですよね。学びそのものを創造的に創っていくオポチュニティ(機会)であり、自分の将来へ向けてのヴィジョンやミッションを時間をかけて創り上げていく「ラーニング・インスティチュート」だと思っています。

憧れを創り、ヴィジョンを創り、コミュニティを創る場所になると、キャンパスが活き活きとしてきます。大学にいる間に、まだ誰も挑戦したことのないことに勇気をもって向かっていく自信(creative confidence)を育ててほしいですね。でないと、社会に貢献できないと思います。こういった意味で、僕は大学の役割ってすごく大きいと思います。


「大学全体が大きなワークショップですよね?」

そうですね。大学は多様な人々からなる学びのコミュニティだし、新しい物を生み出す場所ですから。新しい関係性を創り上げる。ゼロから創るんじゃなくて、いろんなことを様々な形で結びつけていく。weaving、編みあげていく希望の場所だと思います。


「今、悩んでいる方へ、メッセージをいただけますか?」

みなさんは大人になってから「憧れ」についてあまり考えなくなったかもしれませんが、もう一度「憧れ」について考えてみませんか。「自分は何に憧れてる?」とか、「どんなこと実現したい?」って。その憧れを一緒にシェアできる友達は近くにいるかな?と問うてみてください。

長年自分がやってみたいと思っていたことをぜひ、今やってみてください。「機会があったら」とか、「元気になったら」やるぞと待っているのではなくて、今、すぐにチャレンジしてみてはどうでしょう!

一人じゃなかなか思いきれないから、友だちや仲間と一緒になって考えて、チャレンジしてみる。そこにいると憧れが実現できそうな場所に積極的に出て行ってみてください。

外に出て行く、いろんな人に会う、そして多様な人と出会って元気をもらう。僕もそうなのですが、朝起きたら何かやる気が出ないな、気分が晴れないなと思う時も、思いきって外に出て行って友達に会うと元気になります。

輝いている人に出会うと気分が高揚しますし、キラキラした世界、光にあふれているような世界に出会うとワクワク・ドキドキします。ぜひ勇気を持って素敵な世界に飛び込んで行ってください。仲のいい人と、とびきり美味しいものを食べに行くのも効果大です!

これまでの自分を受け入れて、自分の内面から今度は外の大きな世界に目を向けてください。もっと夢に向かっていってほしい。夢を持つことは憧れを実現するエンジンになります。頑張るっていうより、楽しんでください!

一人じゃできないけれど、あの人とだったらできると考えると可能性の領域が広がってきますね。自信という言葉は「自分を信じる」という意味ですね。

僕は自信には二つあると思っています。「一人でできる自信」と、あの人とだったらできるという「他者込みの自信」(Joint Confidence)なのです。「他者込みの自信」というもう一つの自信を持って、やってみてください。自分の可能性を開拓していってください!


「先生の今後の夢と展望は?」

僕は今までワークショップの企画やデザインをしてきましたが、今度は自分で何かを表現したいですね。歌を歌ったりとか、エンターテイナーになりたいなって思っています。このことを友人達に言ってからもう何年も経っていて、いつも今年こそやらなきゃいけないと思っているのですが、なかなか実現出来なくて。

だけど、このインタビューでまた元気になりました。僕、ライブやりますから!(このインタビューが終わってから、3月24日に実際に神戸でライブをやりました)

今後、音楽のライブではないのですが、音楽とパフォーマンスを合体したような、「みんなで元気になろう!」みたいなワークショップをやりたいと思っています。僕は一人でいるとあまり元気がないのですけど、人の前に出ると元気が出るんですよ。これって不思議ですよね。

「みんなで元気になろう!」では、本当は僕を一番元気にして欲しいからやるのですけど。僕にとってはワークショップのステージが元気の源になるのです。テレビのタレントさんって、すごく元気ですよね。それは、毎日がステージだからだと思います。僕もステージの数を増やして頑張りますので楽しみにしていてくださいね!

僕のアティチュードはみなさんをどのようにビックリさせようかということにあります。そして、会の進め方がカッコイイ!と言われたいとどこかで思っているところがあります。だから、美味しくてシャープな切り口になるようにカッコよく振る舞っていくのだと思います。

「カッコイイ」という言葉は、とてもいい言葉だと思いませんか。カッコイイことをカッコイイって言えるカルチャーって魅力的ですね!





<編集後記>

憧れを憧れで終わらせない、優しさあふれる天才。

自分の憧れを語りながら、関わる人々のワクワクを膨らませる。
関わる人達みんなのワクワクが大きくなると、
予想を超えた「プレイフル」な場の展開がはじまる。

人と人が出会い織りなす可能性は、無限大であることを
上田信行先生から教えていただきました。

憧れに挑戦し続ける上田先生の生き方は、
「カッコイイ!」そのものと感じました。



次回号「シュタイナー教育では、『早産』させてはいけない…と考える」→

←前回号「アートセラピーをやっていると、全部がつながってくる」


インタビューTOP(目次)

-ご案内- 上田 信行 先生 同志社女子大学


上田 信行(うえだ のぶゆき)  同志社女子大学
                     現代社会学部現代こども学科教授
                     ネオミュージアム館長

1950年奈良県生まれ。同志社大学卒業後、『セサミストリート』に触発され、セントラルミシガン大学大学院、ハーバード大学教育大学院で学ぶ。ハーバード大学教育学博士(Ed. D.)。帝塚山学院大学専任講師、甲南女子大学人間科学部人間教育学科教授を経て、現職。
専門は教育工学。学習環境デザインとメディア教育についての実践的研究を行っている。
実験的アトリエとして奈良県吉野川のほとりに「ネオミュージアム」をつくり、1990年以来、実験的ワークショップを数多く実施している。
現在、人と人が織りなすコミュニケーションから豊かな学びの場をつくる「プレイフル・ラーニング」という新しい考え方を構築し、実践的な研究を続けている。


<上田信行先生のHP>
【learningthroughlove label】


<ネオミュージアムのHP>
【neomuseum】


<上田信行先生の著書>

cover
プレイフル・ラーニング



cover
プレイフル・シンキング







インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)
鈴木明美
セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren

インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)
前田みゆき
身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中

インタビュアー:古武家真美(こぶけまみ)
古武家真美
心理学とカウンセリングを勉強中
自分らしさを探す旅の真っ最中です。

学生の悩みに手紙やメールで答えるVFM東京でも活動しています。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)
脇坂奈央子
『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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