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あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」 インタビュー集


カウンセラーやセラピスト、セミナー講師など「こころの現場の最前線」で活躍されている方の横顔を紹介します。

 ・カウンセラーってどんな人なの?
 ・カウンセリングって、どうやって受けるの?
 ・私も将来カウンセラーになりたいのですが・・・
 ・・・などなど


「こころ達人の横顔」をインタビューしてきました。
あなたにとって、カウンセリングやセラピー、ヒーリングがもっと身近になれば幸いです。

- 向後 善之 先生 統合的カウンセリング -

   「クライエントさんの状況に合わせてアプローチを選択する」

2013年 06月 15日


今回のインタビューは、カリフォルニア統合学研究所(CIIS)で学ばれ、
「統合的カウンセリング」の第一人者として、ハートコンシェルジュ(株)で
カウンセラーとして活躍なさっている向後 善之(こうご よしゆき)先生です。

さらに、向後先生は、「セラピスト・ビレッジ」という
お互いに得意な理論・手法をシェアしあう場を作る活動もなさっています。

様々なカウンセリング手法を統合し、その時のクライエントさんに
最適なアプローチをしていく「統合的カウンセリング」。

様々な手法を実践なさっている向後先生に
注目すべき新しい手法や、今後の夢などのお話を伺いました。


心理学が学びたくて、エンジニアから転身。40歳でアメリカ留学。

インタビュー写真




「先生は、小さい時は、どんなお子さんでしたか?」

まあ、今で言う多動とか注意欠陥とか、そういう感じで。要するに教室にいるのが耐えられなくて、バケツを持ってよく廊下に立たされていましたね。

僕は元エンジニアだったんですが、エンジニア魂みたいなものがその頃芽生えていて、小学校4年くらいだったかな・・・どの位でじっとしていられなくなるかを実験してみようと思って、やってみたことがあるんです。

そうすると、5分くらいからお尻がむずむずし出して、片方ずつのお尻に体重乗せて何とか耐えようとするけど、10分くらいで耐えられなくなって、サイコロ転がす野球ゲームを密かに始めて、20分くらいで見つかって、25分頃には廊下に出て立つ・・だいたいそんな感じでしたね。


「大学では何を専攻されたのですか?」

僕は工学です。大学院ではエネルギー専攻科と言ってね、原子炉とか石油プラントとかそういう構造物の強度、要するに破壊力学というのを専攻していたんです。


「40歳になって心理学の方に方向転換されたのは、何かきっかけがおありだったのですか?」

中学ぐらいから数学が好きになり、高校に入った時には完全に理系になっていたんですよ。その頃、本屋でたまたま見つけた、宮城音弥さんという精神分析の先生の本が、すごく面白かったんです。そこから河合隼雄さんの初期の頃の本を読んで、心理学への興味が膨らんでいったんです。

しかし大学受験の時には、既に理系で受験するしかなくて、そんな折、大学によっては理系から文系に移るのは難しくないという噂を聞いて、きちんと調べたりすることなく、心理学科へ編入しようなどと考えてその大学を受験したのですが2回とも落ち、結局工学部に進む事になりました。

心理学は好きだったので、ずっと本は読んでいたんですよ。カール・ロジャーズとか、人間性心理学の「人間は成長する生物だとか」もうすごくワクワクして読んでいたら、ちょうどその頃、吉福伸逸さんがトランスパーソナルの本をたくさん出されて。

またそれが面白くてたまらなくて、読み漁っていくうちに、やってみたいなーと思うようになっていた訳ですよ。そのうちにワークショップに参加し始めました。


「どなたのワークショップに参加されたのですか?」

リッキー・リビングストンさんのゲシュタルトの本をたまたま見つけて、衝動的に買った時に、今までそんなことしたこともないのに、東京ゲシュタルト研究所に電話して、リッキーさんのワークショップはないかと問い合わせたんです。

そうしたら「リッキーさんは帰ってしまったけど、近々日本に来るよ」ということで、いきなりだけど泊りがけのワークに参加することにしたんです。

ものすごく面白くて、食事の時に通訳してもらいながら、「僕は、心理学にはとても興味があるけれど、今はエンジニアだし、カウンセラーになるわけにはいかないから、老後の楽しみに心理学をやろうと思っています」と言ったら、リッキーさんが「なぜ今行かないの?」と。

アメリカ人は能天気だなーと思いましたよ。「工学部出身で受け入れてくれる大学院なんてないし、大学から始めるお金もないし」と言ったら、「アメリカに沢山あるじゃない」と言うんですよ。

英語大嫌いなんだから、アメリカなんて冗談じゃないとその時は思ったんですが、これが毒のように広がっていって。それから3年くらい経ってからですが、とりあえず会社でも必要だからと英語の勉強を始めまして、徐々に行きたい気持ちが膨らんで来たんですね。

まあ僕は、どうなるか分からないという気持ちもあって、結婚もなかなかしなかったんですが、34歳で結婚して、性懲りもなくワークショップなど継続していて。

TOEFLのメドがある程度経った時に、奥さんに「実は留学したいんだ」と話したら、「貴方はサラリーマンには向いてないからまあいいんじゃない? だけど路頭に迷うのだけはいやよ」と言われまして、路頭にだけは迷わないように頑張って、じゃあ本気でやるかということになった訳です。


「行先は最初からCIIS(カリフォルニア統合学研究所)に決めていらしたのですか?」

そうですね。CIISにした理由は、統合的カウンセリングを一番うたっていたところですし、もともと僕は心理学を専攻していた訳でもなく独学だから、いろんな分野を学べた方がいいだろうなというという考えと、「直感」ですね。「インテグラル(統合的)っていいじゃない!」という感じで。


「何年間いらしたのですか?」

3年半です。アメリカの臨床系の大学院というのは3年が一般的ですね。最後の年は、プラクティカムというのがあって、これは実際に、カウンセリングオフィスにフルに勤めて実習をするんです。それと、CIISはいろんなカウンセリングのアプローチを学ばなければいけないということで、科目が多かったんですよ。


「どんな分野を学ばれましたか?」

それはもうありとあらゆる分野を学びました。精神分析、ゲシュタルト、イメージワーク的なサイコシンセシス、ハコミ、トランスパーソナルの理論、精神病理学、認知行動系の戦略的行動療法とか。すごく楽しかったですね。

ヒューマンポテンシャルムーブメントの影響を受けている学生が多かったですが、精神分析は基本だから必修になっていました。あとは、ソマティック系(身体心理学)や、アートセラピーとかね。


「大学院を終えられてからは、すぐに日本に帰って来られたのですか?」

いいえ、一か所行きたいと思っていた場所があって、そこで研修しました。サンフランシスコというのは、沢山の人種のいる多文化な土地で、それに対応するカウンセリングオフィスとして「リッチモンドエリア・マルチサービシズ」というのがあって、そこに行きたかったんです。

プラクティカムを受けたんですが、落ちまして、もう一度トライしてダメだったら日本に帰ろうと思っていました。そうしたら運良く受かっちゃたんですね。


「実際にそこでやってみて、いかがでしたか?」

それはもう大変でした。学生時代のプラクティカムでも散々クライエントを診て、大変でしたが、マルチサービシズの方が、もっと激しかったです。

統合失調症とか、自殺の可能性のある重度の鬱患者とか、数もものすごく多くて、いきなりこれ読んでおいてねと、40-50センチほどの高さにもなるクライエントの資料ファイルを渡されて引き継いで、週5日出勤して、多い時は一日に5〜6セッションやりましたね。

それもヘビーな事例ばっかりで、人格障害と診断されたクライアントから、「お前なんて最低のセラピストだ」と言われたりもしました。ホントいい経験になりました。

もう忙しくて、ビビっている暇などないような感じですね。初めて解離性同一障害のクライエントさんともお会いしたし、統合失調症の人も沢山いました。

その中の1人の人は、数学者みたいな感じでしたね。いきなり紙に何か書いていてよく見たらフラクタル幾何学みたいなんですね。「これがなんだか分かるか?」と訊くから「フラクタル幾何学?」と応えたら、お前はよく分かるとなって、そこから話が広がっていき、数学の話からコンピューターの話になって、スタンフォードとかUCバークレーでも教えてたとか言ってました。

「中でも最もセンスがあったのは、ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズだ」と言う訳ですよ。「まあスティーブの方が発想力のセンスがあったけど、ビルは真面目な奴だったよ」と、ものすごいリアリティがあるのですが、全部彼の妄想なんですね。

宇宙論とか量子力学とアインシュタインの相対性理論の統合とかそういうアイディアも持ってらして、すごく面白かったのですが、その時にいろんな事を考えるきっかけになったのは、抗精神薬などを処方されたりすると、段々妄想が無くなってきて、元気も無くなってきて、最後は鬱になって来なくなってしまったんですね。

躁鬱と統合失調症と混ざったような失調感情障害で、妄想が無くなってくると元気も無くなってね。「彼は、精神病のままの方がいいのではないでしょうか?」とスーパーバイザーともいろいろと話したんですが、そこは難しい問題だと。

彼の場合は暴力事件を起こしたこともあって、ある程度おとなしくさせないといけない訳。そうするとあの楽しい妄想が消えていってしまう訳で、なんだか複雑な思いになりました。


「その方にとって一番いい状態というのは何か、というところは難しいですね?」

そうなんですよね。ビル・ゲイツだなんだって言った時に、馬鹿云うんじゃないと言われたから怒ったのかもしれないし、ずっとビルとスティーブの先生だったらハッピーなのにね。みんなで寄ってたかって社会が危険人物にしてるということもあるかもしれませんね。


「環境との相互作用なのですよね?」

そうですよね。こちらがゆったり構えていたら随分と楽しくいろんな理論を話してきましたからね。まあその流れで、統合失調症にはすごく興味を持ちましたね。


「その後、日本に帰られた後はどんなふうにスタートされたのですか?」

日本に帰ろうかどうかすごく迷っていたんですよ。メールマガジンやホームページなどやっていましたので、帰ろうかどうしようかと迷っているという話を書いたりしていたら、日本からオファーがあって、就職は苦労しなかったんですよ。

オフィスを開いたらあっという間にクライエントがワッと来るかなって。オフィスを友人達と共同で開いて、すぐにクライエントが来ると思ったら、3ヶ月で一人でしたね。

クライエントは段々増えていったんですけどね。学校で教えながらプラクティスは必ずやるというのをずっと続けて、日本に帰ってきてから12年になります。


「統合的カウンセリングについて、簡単に説明していただけますか?」

まずね、一つのやり方では全然うまくいかないんですよ。「認知行動」なら「認知行動」だけやっていても、鬱が治るかっていうと、治る人もいるんだけど……。


「合う合わない?」

そう。合う合わない。あるクライエントさんは認知行動的なやり方に全然乗らない訳ですよ。もっと感情を伝えたいし、鬱々で自動思考がどうのこうのなんてやってられないみたいな。そうするともっと別な方法をやっていかなきゃいけないと思う。

基本的な考えとしては、クライエントさんの状況に合わせてアプローチを選択する。技法は何でも使うんですけどね。でも何でも使うと言いながらも、僕自身の基本的な理論の背景は自己心理学とロジャリアンの考えですかね。

反論もあると思うんですけど、あらゆる精神病理っていうのは成長のためのプロセス、成長する段階での混乱であるという考えがベースにあるんですね。

自己心理学の何が好きかって言うとね、精神分析から出てきたものなんですけど、人間性心理学と合体した部分があって、要は昔の精神分析だと「3歳児神話」っていうのがあって、3歳までのことがずっとトラウマになっているという。だけど自己心理学は、いつになっても人間は自己を修復するポテンシャルを持っているという考えを基本にしています。

あとは、インテグラル(統合的)と言っていますけど、僕は技法自体にはそんなに重きを置いていないんですね。技法だけ真似してもダメなんですね。

例えば「目がどちらに動いたから過去のことを考えてる」という解釈とか。それが分かっても何にもならない。まずその人と一緒に居るというところから始めるんですね。その際、一番重要だと思っているのは、オーセンティシティで、自分にウソをつかない、自分の感情をゆがめて解釈しない。



インタビュー写真




クライエントさんの状況に合わせてアプローチを選択する


「自分に正直になる。いわゆる、自己一致ですね?」

そうです。クライエントに対していろんな感情が湧いてくるんですよ。ひどいことを言われてムカつくこともある。アメリカに居た時にボーダーラインのクライエントさんから「お前は最低のセラピストだ!」みたいに言われて。頭に来る訳ですよ。差別用語も使うから、こちらも「この野郎!」と思う訳です。

でも「この野郎!」って思ってる事をちゃんと自分で把握していないと、カウンセリングはできない。そうでないと「あなたのためよ」と言いながら、クライエントさんが苦しくなる方向に持って行ってしまうかもしれません。

ですからまず大事なのは、自分の中をサラッとしておくこと。絶対防衛しないというか。そこをベースにしています。そしてふと「この人にはイメージワークやってみようか」とかねアイディアが湧いてくる。でもその時、少しでもそのやり方に疑問が湧いたらストップする。

反対に、これはやったら何か起こるんじゃないかというワクワク感がある時はやりますね。微妙な違和感が出てきたら、その違和感の正体が分かるまではやらない。

自分のエゴで「最近イメージワークに凝ってるからやってみようかな」というのはNGですね。自分の中の邪な心かも知れないんで、それだったらロクな事がないので止めておいた方がいい。

トランスパーソナル系の人達ってあまり「認知行動」が好きじゃないけど、僕は割と使います。認知行動の自動思考っていう考え方あるじゃないですか、あれをイメージの中で遠くに行かせちゃうとかね。

そんな感じで、認知行動系の考え方と、イメージワークを合体させたようなことをやったりしますね。それが結構面白いんですよ。頭からアプローチするのとマインドフルな所からアプローチするのと、“両方やれば良いじゃない”と思っています。

アートとか絵で表現してもらったりもするし、あとは体からのアプローチをやりますね。ハコミやフォーカシングなどでやる。体の中の違和感を見てもらって、どういうメッセージを発しているか、というのをやってみる。やってみると、これ強力なんですね。


「体からのアプローチですか?」

はい。例えば、解離性同一性障害の方で、30人くらい人格がある人がいて、その人は主人格がボーっとしてて、その人格は小学校後半から中学時代の記憶がごっそり抜けてる。

でね、喋っている時、手が微妙に動き始めたんです。だからその動きに注目してもらったんだけど、そうしたらブルブル動き出しちゃった。主人格は「あははは、何だろう?」って。だからそこから『手』になったつもりで連想する言葉を言ってもらい、僕も思いついた言葉を言い合うようにした。

そうしたらその人から「怒り」という言葉が出てきて、僕が「敵意」って言ったら動きが止まって、「熱いものがこの辺(胸の辺り)に今ある。すごくイヤな感じ」と言う訳です。クライエントさんは「敵意」って言う言葉は知ってるけど実感が無いわけ。

「この感覚が敵意なのかも知れない」っていう話でその日のセッションは終わったんだけど、一週間後の次のセッションには、10個位の人格が統合しちゃった。「敵意」関係の人格が統合して、中学までの記憶が全部繋がった訳です。そんな感じで統合していきましたね。

解離性同一性障害も、イメージとかソマティックとか、ああいうものがすごく大事だと思います。解離性同一性障害の場合、「会議室に入る」というイメージワークをやるんですよ。会議室に入ると交代人格がたくさんいるわけ。で、そこでディスカッションしてもらう。

僕にはそのディスカッションは聞こえないですから、クライエントさんに実況中継してもらう訳ですよ。クライエントさんは主人格として喋るのと、外在化して自分を見るという両方ができるようになるので、統合しやすくなってくる。


「会議だと喋るから、そこで言語化できて外在化が可能になると・・・」

そうです。あとは、統合失調症の幻聴系にもイメージワークを使えますね。幻聴とグループセラピーしてもらうんです。僕には聞こえないでしょう。だからクライエントさんに、誰が何を言っているか教えてもらって、僕が幻聴に突っ込んでいく。幻聴とディスカッションやってね。そうすると、段々、幻聴の恐怖レベルが下がってくる。

僕は幻聴ウエルカムで、「幻聴が聞きたい」って言ってると出てくるんですよ。「今何が聞こえてるんですか?」と聞くと「分かんない」って最初は言います。実は最盛期の時は分からないことが多い。何言ってるか分からないけど責められてる。

で、一言でも分かる言葉があるか聞いていくと「死ね」って言ってると。「男か女か?」って聞くと「女だ」、「3人とか5人とかが言ってる」っていう事になって、それぞれキャラクターが出てきて、段々仕分けが出来てくる。

段々見えてくるので、僕はそれに対してちょっかい出し始めるんです。その時にもうすでにクライエントの恐怖のレベルが下がって来てる。0〜100で評価してもらうと最初は100点だったのが、段々下がってディスカッションしていくうちに恐怖感が無くなって、レベルが10以下になってくる。

そうすると、日常生活に全く支障をきたさなくなる。そしてその頃になってくると、たまに良いことを言う幻聴が出てくる。最初は「やめろやめろ!」って言ってたのが、「ここは気をつけた方が良い」というような幻聴になってきて。

恐怖レベルが10以下に減って、「このままだと消えちゃうね」って言うと、今まで全員がそうだったんだけど「イヤだ」って言うんだよね。だから幻聴と仲良くするか、恐怖レベル5ぐらいで生きていくか、みたいな感じになって。


「幻聴は、必ずしも消す必要はないですよね?」

無いと思いますね。自動思考のちょっと先に幻聴・幻視があると思っているんで、小さくする必要はあるかもしれないけれど消す必要は無いし、うまく利用すれば良いんじゃないかと思います。


「クライエントさんが楽になれば良いのですよね?」

そうそう。その考えで良いんじゃないかと。
変なセラピーもやった事ありますよ。クライエントさんは一流会社に行ってる頭の良い方で、すごく慌てて来て。「不安で人前で喋れない」って言うから、パニック障害か何かかと思っていました。

他の病理も無いし、自分をしっかり観察する観察眼はあるし、でもセッションで生育歴とか聞いてたら、何かソワソワしている。30〜40分過ぎてまだソワソワしてるから「どうされましたか?」って聞いたら「いや、明後日プレゼンなんです」って。早く言いなさいよ!って(笑)。

次の予約が入ってるから残り20分しか無い。仕方ないからイメージワークやった訳。会議室に入って一人ずつに語ってもらうというワーク。「最初は鈴木部長から…」って全員に語ってもらう。

普通は一通り語ってもらうと、最初恐怖レベル10点だったのが7〜8点ぐらいには落ちるんですよ。リラクセーションの方法も教えてね。でも聞いてみると、恐怖レベルが「10点です」って。これはヤバイ、どうしようかと思った。そこまではノーアイディアだったんですけど、「もう一回やってみましょう」と言った時に、降りてきたの。


「降りてきた!」

「もう一回やりますけど、同じ事をやっても面白くないので、鈴木部長から全員に1人ずつちょんまげを被せてください」クライエントさんは真面目だから、そんなこと言っても目を開けないんです。

で、「ちょんまげですか?」って聞くから、「その通り。日本人に一番似合うヘアースタイルはちょんまげです」って言った。侍の髷から町人の髷まで石川五右衛門の惣髪、お相撲さんの大銀杏、何でも良いと。まずは「鈴木部長は何にしますか?」って聞いたら、クライエントさんは「町人にします」って。

表情も緩んできたからこれはいけるなと思って、続けていくうちに止まってしまいましてね。「伊藤課長は?」って聞いたら悩んでるから「どうされましたか?」って聞いたら、「伊藤課長は女です」って。

「女性にちょんまげでも構わないんですよ。でもちょんまげがイヤなら日本髪でも構いませんよ。日本髪と言っても沢山ありますからね。文金高島田、吉原の太夫の日本髪もあるし、町娘の髷もあるし、どれにしますか?」と聞いたら「町娘にします」。で、ひととおり終わったら恐怖レベルが1〜2になっちゃった。

「すごく安心しました」って言うから、「是非、自分のプレゼンが来るまでこれをやっててください。みんなにちょんまげ被せるんですよ。日本髪でも良いし」と言いました。

そうしたらね、うまくいったらしくて、30分セッションの予約を入れてもう一回来てくれた。「ありがとうございます」って。「他の会議でも全然平気になっちゃいました」って。


「楽になって良かったですね〜」

ホントにうまくいって良かった。あともうひとつ大事にしている事があるんです。

100%うまくいくなんてあり得ないんで、カウンセラーは、どこかで必ず失敗するんですよ。どこかでクライエントさんを傷つけちゃう事がある。その時に僕がやらなきゃいけないことは、防衛しないってことなんですね。言い訳しない。

それから、結構皆さん仰るんだけど、アクティングアウトしたらどうするんですか?って。暴力的になったりする人だっているでしょう? ワーッと言ってくる人だっているでしょう?って。でもそこは、怒り出したら逆にオイシイ、と僕は思ってる。

例えば引きこもりの人達は、大体家庭内暴力をしてるじゃないですか。訪問するとカウンセラーの方に怒りを向けてくる。その時、逆にチャンスですよね。その怒りから逃げずに、受け止めるものは受け止めるが、受け止められないものについては、はっきりとNoと言う。

そうすると、彼らはどこかの時点で「ワァー」っと言えるようになる訳です。

悶々と自分自身を攻撃してる人が、実はいじめられて引きこもっていたとすると、いじめた連中に対して「バカヤロ、コノヤロ、死んじまえ」って言いたい。それを出すために受け止めて、受け止めながらワッと出た時に「おお、言っちゃえ?」って出させるというやり方もある。

怒りをきちんと受け止めると、実際に行動化することはありません。受け止めてもらえない怒りがキレるという状況を作り出します。ある程度、観察自我があるクライエントさんにはアクティングアウトってチャンスだと思うんです。


「今、ハラスメントで苦しんでいる方は多いと思うのですが、それについてはいかがでしょう?」

ハラスメントをされて、苦しんでいる人達に対してどういう風にするかっていうとね、落ち着く方法をお伝えするっていうことですね。

これは基本的に呼吸です。大事なのは、足をしっかり地面につける、呼吸をゆっくりすること。そして絶対に顔を伏せないで、顔を上げて相手を見る。相手を見るけど睨まない。これが基本ですね。

ハラスメントはね、いろんなことをやってくるけど基本的にパターンは決まっていて、罪悪感を投げ掛けてくるんです。人格否定。例えば、仕事のミスなのに、「お前はバカか!」っていうところから始まって、ひどい事を言ってくる。「だいたいお前は考えが甘くてやる気がないんだよ」って。

本当に真面目にやっていたのに、ミスしたことに対して人格攻撃的なことを言ってくる。だから、ますます固くなってミスしちゃう。

他にも、精神論に変えちゃったり、「〇〇さんのこと、誰それさんがこう言っていたよ」という形で攻撃したりする。ハラスメントする側には、「俺はこんなに苦しいんだよ。それなのに、俺にまだ迷惑をかけるのか」みたいな、いくつかのパターンがあるんですよ。

クライエントさんに、そのパターンを覚えてもらいますね。そうすると「パターン2で来たな」とか、心の準備ができる。それで、実際に自分がミスした行動については反省をするんだけど、人格だとかなんだとか言ってくることについては一切反省しないで、右から左に聞き流す。

「他のことを考えていてもいいし、話を聴くのは1分だけ」と伝えています。1時間2時間、ひどいときは8時間も説教しているって例があって。そんなの意味ないですよ。

顔上げて堂々としていたら、相手は段々喋りにくくなってきて、説教を止めるのが少し早くなります。相手の先を読むみたいになってくるとラクになりますね。

一方、ハラスメント、DVする側のカウンセリングもやるんですけど、その時に大事なのは共感じゃないんです。日本は、傾聴と共感ばっかり強調しますが、直面化っていうのがあってね、「あなたのテーマはこれですよ」っていうのをもっとやらなくてはいけない。


「直面化ですか?」

実は、僕は両輪だと思っている。被害者のカウンセリングの場合には、傾聴・共感の要素が強いですけどね。ハラスメントしている場合は、直面化の要素が強くなります。

例えばね、ハラスメントしている人は、僕に共感してもらうことを期待するよね。「しょうがないですね。課長っていうのはそういうものですものね」って。

DVの加害者が必ず言うセリフがあります。「向後先生は男ですよね。奥さんを殴ったことはありますよね」「殴りたいと思ったことってありますよね」って、すごく早い段階で聞いてくるんですよ。その時、僕は「何の目的があって聞くんですか?」って聞くんです。

「別に何もないよ」って言うんですが、でもそこで終わらせないんです。「目的のない質問はございません」と言います。「物事には、必ず目的がありますからね」って。そうすると、「何なんだよここは! クライエントの話を聴くとこなんじゃねえのか」って、段々怒りが高まっていく。

「だから、お話は聴きますし、質問にも答えますけど、私がお聴きしているのは、目的のない質問は・・・」と申し上げると、クライエントさんは「目的目的ってうるせえんだよ!」って始まって、ワ〜って怒りだす訳ですよ。怒りだした時に、「そういう風に奥さんにもやっているんですか?」って話をするのね。そうすると、ふっと立ち止まる。そういう人は治ります。

それで、「そうなんだ」って、泣き出しちゃった人もいるね。そうすると暴力的にならないでやれる方にいけるんですよ。DVのカウンセラーの中には、DVの加害者は治らないって言う人がいますが、僕は必ずしもそうは思っていないんです。

日本の場合は保険も効かないところに来る訳ですよ。それだけで、何らかの意思がある訳だから、ちゃんとアプローチをしていくと結構な割合で治る。

ある程度以上重い人格障害になると難しいですね。こんなカウンセリングは無駄だって言って止めてしまうのがオチですね。でも、それはしょうがないと思っています。


「そこまででない場合は、楽になられますよね?」

そうですね、姿勢も変わるし、顔つきも変わって、力が抜けていくんですよね。最初はおっかない顔しているんですよ。


「いろんなものが乗ってるし、鎧も着てますものね?」

鎧、あれは大変ですね。だいたい肩がぐっと前に出ていますね。


「でも、その方の感覚では、被害者なんですよね?」

そうですね。基本的に彼らは被害者の感覚があるし、不安・恐怖があるんですよ。だからやるんですよ。恐怖の反応のファイト反応ですからね。いじめられている人はフリーズ反応。うまい事すり抜ける人は、フライト反応って言いますね。


「今、悩みを抱えているという方へメッセージをお願いできますか?」

悩みの種類にもよりますけどね、僕は人間性心理学の考え方に共鳴しているところもあって、ありとあらゆる悩みは、成長のための混乱だと思うんですよ。それが病理にまで発展しても、鬱だとかパニックだとか精神病になったとしても、それは基本的には、成長のための混乱だと思っています。

実は、脳の器質的な問題っていうのはあって、そういうのに対しては違いますけど、そうでないものに対しての前提は、全部成長のための混乱だと思っているんです。


「先生が今、興味を持っていらっしゃるものを教えていただけますか?」

統合失調症ですね。統合失調症のクライエントさんは、文献によると20%〜30%くらいは治る。要するに、薬がなくて生活ができるようになるってことです。今後、見極めみたいなのをやって、その人に合うアプローチみたいなのをできればいいなと思っているのが1つですね。

あとはね、今、セラピスト・ビレッジっていうのを作っているんですよ。そこで何をやっているかっていうと、みんなで自分の得意な理論や技法を持ち寄るんです。そこでみんなでシェアします。

だからそこでご披露した技法や理論はFacebookで全部、今日はこんなのがありましたって披露しているんです。そういう会を一年半くらい前に立ち上げて、定期的にやっているんです。そういう感じのムーブメントを作って、さらに壮大な夢になりますけど、日本にエサレン研究所みたいなのを作りたいなって思っているんです。

みんながエサレンにいた時すごかったじゃないですか。フリッツ・パールズだとか、グレゴリー・ベイトソンだとかさ、ああいう人達が集まって、いろんな実験やって、いろんな手法が出てきたでしょう。ああいうのをやれたらいいなと思っていましてね。そうしたら、なんか面白いじゃない。


「今、アプローチ手法として、興味を持っているものはおありですか?」

認知行動の第三の波っていうのがあって、ACTですね。ACTはマインドフルネスのところが足りないと思っているので、もっと違うアプローチをやりたいなと思っているんですよ。

研究中、構想中、トライ中みたいな感じですね。だから、そういうのをみんなで教え合う場を作りたいね。セラピスト・ビレッジがエサレンみたいになって、そういうのを教え合う場みたいになってもいいなって思っているんですよね。妄想は広がります。妄想はタダですから(笑)。


「先生の今後の夢は、やはりエサレンですか?」

そうだね。やっぱりエサレンみたいなのを作ることだね。それが夢ですね。それができたら本当にいいですね。思いっきり声も出せるスタジオみたいなのがあって。そういうのが出来たらいいなと思っています。





<編集後記>

向後善之先生には、恵比寿のハートコンシェルジュで
お話をお伺いしました。

終始、優しい笑顔で、テンポ良く、楽しく語ってくださいました。

心理学が好きで好きで・・・
   というお気持ちと共に、
人間が好きで好きで・・・という、暖かいハートも伝わってきました。
そして、先生からは明るさと、毅然とした強さを感じました。

このパワーがあれば、「日本にエサレン研究所のような場所を!」という、
向後先生の夢も、そう遠くない日にきっと実現することでしょう!



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インタビューTOP(目次)

-ご案内- 向後 善之 先生 統合的カウンセリング


向後 善之(こうご よしゆき)  ハートコンシェルジュ 臨床心理士
                    統合カウンセリング学修士

1957年神奈川県生まれ。
石油会社で会社員生活の後、40歳から渡米。
CIIS(California Institute of Integral Studies:カリフォルニア統合学研究所)で学び、統合カウンセリング学修士。
サンフランシスコ市営のRAMS(Richmond Area Multi‐Services:サンフランシスコ市営のカウンセリングセンター)他でカウンセラーとして働いた後、帰国。
現在、恵比寿のカウンセリングオフィスハートコンシェルジュでカウンセラーとして勤務するとともに、カリフォルニア臨床心理学大学院東京サテライトキャンパスで臨床心理学を教えている。
日本トランスパーソナル学会常任理事・事務局長。


<向後善之先生のHP>
【カウンセリングのハートコンシェルジュ】


<向後善之先生のブログ>
【ハートコンシェルジュ カウンセラー’sブログ】


<向後善之先生の著書>

cover
わかるカウンセリング―自己心理学をベースとした統合的カウンセリング



cover
就活でうつにならないための本



cover
ゆるぎない心 を作る8ステップ おとなの悩トレ!



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人間関係のレッスン







インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)
鈴木明美
セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren

インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)
前田みゆき
身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中

インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)
脇坂奈央子
『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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