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あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」 インタビュー集


カウンセラーやセラピスト、セミナー講師など「こころの現場の最前線」で活躍されている方の横顔を紹介します。

 ・カウンセラーってどんな人なの?
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 ・私も将来カウンセラーになりたいのですが・・・
 ・・・などなど


「こころ達人の横顔」をインタビューしてきました。
あなたにとって、カウンセリングやセラピー、ヒーリングがもっと身近になれば幸いです。

- 榎本 英剛 先生 よく生きる研究所 -

   「人がエンパワーされる社会とは? トランジション・タウンとチェンジ・ザ・ドリーム」

2014年 05月 3日


今回のインタビューは、CTIジャパン創設者で、
『よく生きる研究所』代表の榎本 英剛(えのもと ひでたけ)先生です。

先生は、日本人として初めてプロコーチの資格であるCPCCを取得し、
コーアクティブ・コーチングを日本に紹介された方です。

さらに、持続可能な未来を創るための市民運動である
トランジション・タウンおよびチェンジ・ザ・ドリームの活動も、
展開していらっしゃいます。

「よく生きる研究所」を設立し、ますます活動を深めていらっしゃる
榎本英剛先生(ヒデさん)に、「天職創造」「よく生きる」「レジリエンス」
などをキーワードに、お話を伺いました。


人生やキャリアをデザインしていく“サポート”をしたい!

インタビュー写真




「小さい頃はどのようなお子さんだったのでしょうか?」

いくつかエピソードとして覚えていることがあって、1つは幼稚園の頃に近所の子どもを集めて、[探検ゲーム]というのをやっていました。知らないところまで歩いて行って、あえて迷うんです。「もうわからないところまで来たね」ってなったら、「よし。じゃあ帰ろう」って。

ちゃんと家まで無事帰れるか、というのを試すわけですが、自分の親や一緒に行った子ども達の親には、その遊びをやるとこっぴどく叱られた記憶があります。昔から冒険心、探求心みたいなものが強かったのかなというのが1つあります。

あともう1つは、小学校にあがったくらいから、友達のところに行くと、「ちょっと家の中見せてくれる?」って言う変な子どもでした。家の中を一通り見た後、家に帰って間取り図を描いていたんです。知り合いの家でなくても、素敵な家を見ると家の中を想像して間取り図を描いたりしていました。

建築家には残念ながらなれませんでしたが、後々コーチングを仕事としてすることになった時に、そう言えばこれも人が自分の人生をデザインするのをサポートする仕事なんだということに、気がついたんです。


「学生時代に、今の仕事に繋がるようなことはされていたのですか?」

繋がるかどうかはわかりませんが、私は自分の父親から、何事においてもああしろ、こうしろとずっと言われ続けてきました。そしてそのことにいつも反発心を抱いていました。ただ、小さい頃は刃向えなくてその通りにしていたんです。でもその時、自分で自分のことを決められない苦しさ、悔しさを味わったおかげで、いかにそのことが大切であるかを身をもって学んだ感じがしています。

父親との関係だけでなく、先生と生徒の関係、先輩後輩の関係、上司部下の関係とか、とにかく答えを他人から与えられることに対する反発心や違和感が昔からありました。


「答えを与えられることに対する反発心や違和感ですか?」

話が飛躍しますが、29歳の時に会社を辞めてアメリカの大学院に留学している時にコーチングに出会って、その中に「その人が必要としている答えはその人の中にある」という考え方があることを知って、「これだ!」と思ったんです。

それを知った時、「今まで自分がずっと抱えていた違和感の原因がやっとわかった。反発していたのは自分がおかしいからではなかったんだ。誰だって自分のことは自分で決めたい。むしろ、その方が自然なんだ」という感じがしたんです。

ちょうどバブルが崩壊し、企業が終身雇用を手放した頃です。また、“キャリア”という言葉がよく語られるようになっていました。「入社したら会社が定年まで面倒みます」という時代から、「これからは自分のキャリアは自分で決めてください」と言われる時代になりました。それに対して、今まで会社勤めをしてきた人達の中にはどうしたらいいのかわからないと戸惑う人達も多くいました。

でも、そのような問題意識を持ちながらも、僕自身はコーチングを勉強するために留学したわけではありません。「組織開発」を学ぶためでした。これは、組織の中で働く人達がどうしたら活き活きと働いて、かつ本来持っている力を発揮することができるかを研究している学問なんです。生き方、働き方に関して自分なりの答えを見出してから、これからのキャリアを考えたいと思って留学しました。


「当初は、コーチングの勉強のための留学ではなかったのですね?」

「自分の人生は自分で決めろって急に言われても…」と戸惑う人達に、「やっと自分の人生を自分で決められる時代がやってきたんです。これはチャンスだし、むしろ喜ばしいことですよ」ということを伝えていきたい。また、具体的に自分で自分の人生やキャリアをデザインしていくサポートをしていきたいと、漠然と考えていました。

そんなことを周りの人達に話していたら、「そういうことがやりたいんだったらコーチングを勉強してみたら?」と別々の機会に数人から言われました。でも、最初はあまりピンと来ませんでした。それでも、薦められたコーチングのプログラムに行ってみたら、「まさにこれは自分が探していたものだ!」と感動し、そこからは大学院の勉強そっちのけでコーチングにはまってしまいました。


「CTIのコーチングの、他との違いや特徴は何でしょう?」

“コーアクティブ・コーチング”って言うんですけれど、自分がこれを学んで最初に思ったのは、「すごく東洋的だな」と。西洋のものって、いつもステップ・バイ・ステップというか、これをやってから次にこれをやるという風に、順を追って進めていく直線的な手法が多い気がしています。

一方、CTIのコーチング・モデルは円の形をしています。そのせいか、どこが最初というのはなくて、どこから入ってもいいし、全体が大事だという、ホリスティックな感じがありました。

他のコーチングだとよく「こういう時にはこういう質問をする」みたいなものがあったりしますが、そういうものも無いんですね。「とにかく好奇心が大事だ」とか、「その時にその場面にふさわしい質問が直感で出てくる」といった、ある種のあいまいさがあって、そのあたりの考え方が東洋的だと思いました。日本人にはフィットしそうだなとも。

CTIのコーアクティブ・コーチングには、フルフィルメント、バランス、プロセスという3つの指針と呼ばれるものがあるんですが、その中で重要となる価値観や視点、感情といった要素はすべて「Being」に関することなんです。

「あなたは何を大切にしているの?」「あなたは何をどう見ているの?」「あなたは何を感じているの?」というのが根本的な問いになるんですが、これらは「その人の中で何が起きているのか?」に焦点を当てたものです。そういう意味で、コーアクティブ・コーチングはBeingを重視したコーチングだと言えますし、そこも東洋的だと感じる理由の1つです。

一方、他のコーチングは、ビジョンやゴールを描いて、それに到達するための行動計画を立て、それを着実に実行していくというDoing重視の傾向が強いような気がします。もちろん、コーアクティブ・コーチングでもDoingは扱いますが、「何をするか」だけでなく、「どうあるか」を見ていくことで、より本質的な変化が起きるという考え方をしています。

あと、CTIはそのトレーニングに特徴があって、参加体験型のワークショップ形式で、実践を通して習得していくやり方です。例えば、「好奇心が大事です」と伝えて、その要点を説明した後、すぐに2人1組になって、実際に相手に好奇心を向けて質問をする練習をしてもらいます。

その後、相手と共に何がうまくいって、何がうまくいかなかったかを振り返る中で、学びや気づきが生まれてきます。

講師の説明をただ聞いているよりも、実際にやってみて、「好奇心を向けて質問するって難しいな」とか、「相手にとって何が良い質問かは、最初から決まっているわけじゃないんだな」といったことを身をもって体験することで、好奇心の大切さが腑に落ちていくのです。


「トランジション・タウンに興味が向かったきっかけは?」

コーチングをやっていて、常に疑問に思う事がありました。


コーチングって何?といった時に、いろいろな説明の仕方がありますが、その1つに、相手をエンパワーするための手法というのがあります。つまり、相手が自分自身の本来の力に気づいて、それをフルに発揮できるよう支援していく方法だと思うんですね。

実際自分がコーチングをしてもらったり、させてもらったりする中で、人がエンパワーされていく場面を何度も見てきて、これは素晴らしい手法だということには確信を持っているのだけれど、その人が生きている世の中はどうなんだろうか、という疑問があったんですね。

今の世の中の仕組みが、そこに生きている人達の可能性を引き出すような仕組みになっているかというと、そうじゃないな、と思ったんです。政治の仕組みもそうだし、経済や教育の仕組みもそう。ありとあらゆる仕組みが人の可能性を引き出すような仕組みになっていない、という風に感じていました。

そのような仕組みの中で1人1人、コーチングを通してエンパワーしていっても、どこかで限界が来るのではないか、ということを常に感じていました。そこで出てきた問いは、「人がエンパワーされる社会って、どういうものなんだろう?」というものでした。


「エンパワーされる社会とは? という問いですね」

どういう仕組みになれば、コーチングという手法に頼らなくても、そこに生きている人達が自然にエンパワーされ、常に自分らしく、本来の力を発揮できるような社会になるんだろうという問いが湧いてきました。

僕は、問いが湧いてきて、それが気になり始めると、追究せずにはいられない性質みたいで。その疑問を抱えたまま、これまで通りコーチングを続けていくわけにはいかなくなったんですね。

具体的なきっかけはピースボートという3ヶ月で世界を一周する旅に出たことでした。旅の間、世界で今起きている様々な問題を見聞きするうちに、自分はいかに何も知らないかということに気づき、コーチングという小さな世界の中で「井の中の蛙」になっていることに愕然としたんです。

このままいくとマズイという危機感が強くなり、“井の中”から出なくてはいけない、と思いました。とは言え、会社を作ってまだ3年も経ってなくて、事業も軌道に乗ったとはとても言えない時期だったので、相当悩みました。

そこで、1年だけ自分に時間的な猶予を与えることにし、その間にやり残したと思うことを全部やり、後を継いでくれる人も見つけて、ピースボートから戻ってきてちょうど1年後に、経営から身を引かせてもらいました。



インタビュー写真




人がエンパワーされる社会とは? トランジション・タウンとチェンジ・ザ・ドリーム


「経営から身を引いた後、どうされたのですか?」

辞めてから何をするかっていうのは、全く決めてなかったんですが、1つ、エコビレッジというのが気になっていました。

これは持続可能な暮らしを営むコミュニティの総称で、その中でも世界的に有名なフィンドホーンっていうスコットランドにあるエコビレッジのことを以前から知っていました。ある時、そのフィンドホーンから送られてきたパンフレットを何気なく眺めてたら「この度、新しくエコビレッジ・トレーニングを始めました」という文章に目が留まったんです。

その案内文を読んだ時、すごくワクワクしました。直感的に「ここに自分が探している答えのヒントがあるかもしれない」と思ったんです。そこで、フィンドホーンに行って、1ヶ月間のエコビレッジ・トレーニングを受けることにしました。ただ、1ヶ月くらい行っただけでは何も分からない、というのが正直な感想で、やはり実際に住んでみないとわからないと思い、その後、家族を連れてフィンドホーンに移住しました。

そこで持続可能な暮らしっていうのを身をもって体験しながら、「人をエンパワーする社会ってどういうものか」という問いに徹底的に向き合いました。


「どのようなことが、わかりましたか?」

フィンドホーンでは、食べるものにしても、エネルギーにしても、暮らしていく上で必要となるものは基本的にすべて自分達で作っているんですね。自分達で農場を持っていますし、風力発電用の風車を4基持っています。経済についても、地域通貨といって、コミュニティの中でお金を循環させる仕組みを持っていました。

彼らは、いかに外の世界に依存せずに、持続可能な暮らしを営んで行くかを考えているわけですが、それが同時にそこに住んでいる人達をエンパワーする仕組みにもなっていることに気づきました。このようなコミュニティが世の中に増えていけば、人がエンパワーされる社会をつくることも可能かもしれない、と思い始めたんです。

ただ、じゃあ日本でエコビレッジでも始めようかと思っても、日本はそもそも土地があまりない。土地があったとしても資金がない。資金があったとしても、時間はかかるし、人手もかかる。そんな悠長なことをやっていたら、気候変動やピークオイル等の世界が直面する差し迫った問題にも間に合わないと思いました。

どうしようと思っていた時に、誰かから「トランジション・タウンって知ってる?」と言われたんです。話を聞いてみると、それだったらできるかもしれないと感じました。


「どう違うのですか?」

エコビレッジが基本的に何も無いところからコミュニティを築いていくのに対して、トランジション・タウンは、既存のコミュニティ、つまりすでにある市町村に住んでいる人達が中心になって、それをより持続可能なコミュニティに変えていこうという市民運動なんです。

トランジション・タウンの考え方って、コーチングの考え方と近い部分があるんです。コーチングでは、その人が必要とする答えはその人の中にあるって考えるんですが、トランジション・タウンではその地域が持続可能な地域になるために必要なリソースは全部その地域にあるって考えるんですね。対象が個人か地域かだけの違いであって、全く同じではないかとびっくりしました。

コーチングをやっている人達から見ると、僕がなんで突然トランジション・タウンのような市民運動をやり始めたのか、理解できないようなのですが、自分の中では全部繋がっているんです。

ちなみに、「エンパワーしたい」というのは、自分にとって人生の目的と言えるものなんだと思います。対象が個人であったり、地域であったりして、それぞれやり方も違うけれども、結局は1つのことをやっているという感覚なんです。


「フィンドホーンにいる人達は、エンパワーされているのですか?」

皆が皆、エンパワーされているわけではないと思いますけれど、いざという時の安心感があるように感じます。食料やエネルギーなどは自分達で作っているし、困った時にはお互いに支え合えるだけのつながりもあるので、喰いっぱぐれることがないんですね。

最近、特に大都市に住んでいる人達を見ていると、常にそこはかとない不安を抱えている人が多いように感じます。食とかエネルギーなど、生きる上で必要となる基本的な要素との距離が離れてしまって、何があっても大丈夫という感覚がないことから来る不安なのではないかと思います。

これは、被災地支援で東北に行った時にもすごく実感したことなんですが、東北と一言で言っても、農漁村もあれば町中もあるんですね。

避難所に救援物資を持って行った時に、農業とか漁業をやっている人達のところに行くと、「俺達は海や畑さえあれば何とかなるから、他に持って行ってやれ」なんて言うわけですよ。家も船も流されて何にもなくて大変な思いをしてるっていうのに。

一方で、町中の避難所に行くと、幽霊みたいな感じで人が群がってきて、我先にと救援物資を持っていくんです。「この違いは何なんだろう」と思いました。


「何が違うのでしょう?」

僕は、これからの時代の1つのキーワードに“レジリエンス”というのがあると思っています。どんな変化に対しても柔軟に対応できるしなやかな強さという意味の言葉ですが。

レジリエンスには、個人レベルのレジリエンスもあれば、地域レベル、組織レベル、国レベルのレジリエンスもありますけど、何があっても何とかなるさとどっしり構えていて、実際何とかしてしまう、そういう底力を、個人レベルでも地域レベルでも国レベルでも失ってしまっていることが、そこはかとない不安を生んでいる気がしています。

何があっても大丈夫、というのは心のレジリエンスですし、実際に何とかしてしまえるのは暮らしのレジリエンスだと思いますが、この両方を身につけていくことが、これからの時代に求められている大事なことだと思っています。


「チェンジ・ザ・ドリームについても、教えていただけますか?」

今、世の中ではいろいろな問題が起きています。環境の破壊だったり、社会的な不公正だったり、精神的な行き詰まりだったり。日本で、毎年自殺者が3万人も出るのはまさに精神的な問題ですね。今の世の中で問題となっていることは、突き詰めるとだいたいこの3つに集約されるんです。

そして、「それはなぜ起こるのか?」という原因を辿っていくと、結局のところ、「その人がどういう意識で世界を見ているか」ということが、すべての問題の根源にあるというのがチェンジ・ザ・ドリームのメッセージなんです。


「人の意識の問題なのですね?」

その人がどんなことに問題意識を感じているにせよ、その問題は他の問題と切り離されて別個に存在しているわけではなく、それらの根っこを辿っていくとすべて繋がっています。いろんな団体が、環境の問題に取り組んだり、不公正の問題に取り組んだりして、互いに自分が取り組んでいる問題の方が大事だと主張しているけど、どれも元々は1つの問題から派生しているんです。

環境の問題はあるわ、テロの問題はあるわ、原発や放射能の問題はあるわ、というようにたくさん問題があると思うと圧倒されてしまって、無力感にさいなまれている人は世の中に多いと思います。

でも結局、すべての問題の根っこは「世界はバラバラである」という世界観にあると気づくと、企業や政治家など他の誰かが悪いというよりも、僕達1人1人の意識がそういった問題を作り出していて、自分自身にも責任があるということに気づくわけですね。それに気づくことってすごく痛いことなんだけど、でも同時に、すごく勇気づけられることでもあるんです。

というのも、問題がたくさんあって、しかもそれら問題の原因が自分の外にあると思ってしまうと、何もできないという無力感に陥ってしまうんだけど、問題の原因は1つで、しかもその原因に自分も関わっていると思うと、「自分も問題を解決していくための解決策の一部になり得るんだ」という希望が湧いてくるんです。

チェンジ・ザ・ドリームには“シンポジウム”と呼ばれるワークショップ形式のプログラムがあって、そこではまず「問題の原因は自分達の世界観にある」ということに気づいた後、「じゃあ、自分にできることは何だろう」と、参加者1人1人が自分の役割に気づいて、エンパワーされていくのを後押しします。


「自分には何もできないと思っていたところから、自分にもできることは何かを探していくのが、チェンジ・ザ・ドリームということですね?」

僕はエンパワーする上での最大の敵は“無力感”だと思っているんです。人は無力感に陥っている時、「自分にはどうにもできない」と思っているわけですが、その場所と「自分にもどうにかできる」という場所の間には大きな溝があって、その溝に橋を架けることが大事だと思っているんです。

その橋を架ける方法にはいろいろあって、コーチングという橋もあれば、トランジション・タウンという橋もあるし、チェンジ・ザ・ドリームという橋もある。無力感から何にもできないと思っている人が、自分にも何とかできるというところに移行するための橋をたくさん架けたい、という想いが自分を突き動かしているおおもとにあると思います。

その橋は多ければ多いほどいい。なぜなら、コーチングに興味を持って来てくれる人は限られているし、トランジション・タウンやチェンジ・ザ・ドリームだけでもそれは限られてしまうけれど、橋の数が増えればそれだけ接点が増えて、エンパワーされる人が増えるはずだと考えています。


「エンパワーするための橋を架けるのが、ご自身の天職?」

それが、自分が一生をかけてやってみたいことですね。今やっていないことでも、まだいろいろな方法があるんだと思います。


「今、悩んでいる方や、セラピストを目指している方へのメッセージをいただけますか?」

常に原点に立ち返ることが重要だと思います。

例えば、「なぜあなたはセラピストになりたかったんですか?」といった元々の想いみたいなものを僕はその人の原点と呼んでいて、それは誰にでもあるんですね。でも、同じセラピストという職業でも「なぜセラピストになったか?」という原点は、それぞれのセラピストで違うと思うんですね。

僕だったら、「エンパワーするための橋渡しをしたい」ということが原点であって、コーチであるとか、トランジション・タウンの活動をやっているとか、いわゆる目に見える仕事の部分というのは手段に過ぎないわけです。

だけど、目的と手段を混同してしまうということはよくあって、例えば、コーチになるということは手段であったはずなのに、「勉強して資格をとらなくちゃ」、「スキルを磨かなくちゃ」、「クライアントを見つけなくちゃ」といったことを一生懸命にやっているうちに、「そもそも何でコーチになりたかったんだっけ?」という目的が後回しになってしまうことがあるように思います。


「目的が後回しになってしまう?」

「そもそも、何でやりたかったんだっけ?」という原点こそが自分の本業で、職業はその手段に過ぎないというところに立ち返ることができれば、1つの職業にとらわれなくてもいいと思います。

自分が本当にやりたいことを1つの職業、1つの方法だけで実現しようとすると、僕がそうだったように、ある時壁にぶつかる可能性があると思いますが、それを実現するのにいろいろな方法があると思うとラクになりますよね。

職業的な悩み以外でも同じだと思います。「この道しかない」とか「この選択しかない」とか思うとすごく追い詰められるので、そういう時には一旦「そもそも、何がやりたかったのか」という原点に立ち返ることで、より多くの選択肢や解決策が見えてくると思います。


「今後の夢や展望を聞かせていただけますか?」

僕はあまり展望とかを持たない人間なんですね。よくビジョンやゴールを明確にすることが重要だと言いますが、僕はこれらは“両刃の剣”だと思っています。

何かを実現したいと思った時、そこに至るまでにはある程度の時間がかかりますよね。そこに向けて行動を起こしていくと、一歩前に行く度に新しい情報が手に入るわけですが、ビジョンやゴールを明確に決めてしまうと、そこに至る上で一見関係なさそうな情報をすべてシャットアウトしてしまう傾向があって、それはかえって可能性を狭めてしまう気がするんですね。

かと言って、ビジョンやゴールについて考える必要は一切ないか、と言うとそうではなくて、僕は、ビジョンの役割は、「明日どっちの方向に向かって一歩を踏み出せばいいのか?」を見出すためのツールだと考えています。

“ビジョンのジレンマ”と僕は呼んでいるんですけど、ビジョンは一歩行動を起こす度に更新していかないと、それに囚われてしまって、かえって足枷になりかねないと思うんですね。


「それが、ビジョンのジレンマですか・・・」

よく、ゴールを設定して、そこに至るまでの計画を立てて、それらに照らして今うまくいっているとか、いっていないという評価をするじゃないですか。でも、ゴールとかビジョンに至る道筋って本当はいっぱいあるわけですから、自分の小さな頭で考えた計画だけを基準にして、うまくいっているか、いっていないかって判断できるものではないように思います。

僕は、ビジョンやゴールを明確にするよりも、「エンパワーをしたい」といったように、自分のエネルギーが向かう方向=ベクトルがはっきりしていればいいと考えています。「エンパワーをしたい」というのは形のないものですから、それを実現する方法はたくさんあるけれども、形のあるものに囚われると結構危険だと思うんですね。

行動ってある種の意思表示だと僕は思っているので、自分が行動を起こすとそれに世の中が反応していろいろな情報が引き寄せられてきます。例えば、僕は組織開発を勉強するために留学したわけですが、いざ行ってみたら、実は生き方とか仕事とかいうことに興味があることがわかって、そこからコーチングに出会っていくわけです。

もし僕が「組織開発を勉強して、組織開発コンサルタントになる」と決めてそれにこだわっていたら、コーチングに出会うこともなかったと思うんです。だから、形に囚われるのではなく、その瞬間のベクトルだけを意識して一歩を踏み出し、そこで引き寄せられてくる情報に従って、次の一歩をその都度考えるという方がいいんじゃないかと。


「ベクトルだけを意識して、何をやるかはその都度考える?」

未来のある一点に向かって可能性がだんだん狭まっていくボトルネック的な生き方よりも、一歩踏み出すごとにどんどん可能性が広がっていくオープンエンド的な生き方の方が僕自身は面白いと思うので、敢えてビジョンとかゴールとか形のあるものを設定しないようにしているんです。

だから、「エンパワーしたい」というベクトルは多分ずっと変わらないと思いますけど、具体的に何をやるかはその瞬間瞬間に判断していこうと思っているので、1年後自分が何をやっているか全くわかりません。そういう先が見えない感じがなぜかたまらなく好きなんです。

逆に、1年後自分が何をやっているかが見えてしまうと、つまらなくなってしまうんです。CTIジャパンの経営を離れたのもそれが1つの理由です。1年後自分が何をやっていて、どういうスケジュールで動いているのかが見えてしまって…。それがイヤなんですよ。

このことは幼少時に探検ゲームをやっていたこととつながっているのかもしれません。多分、迷いたいんですよ、僕は(笑)。きっと、そういう生き方をする種は昔からあったんだと思いますね。





<編集後記>

雨の中、タイトなスケジュールの合間を縫って、インタビューを
させていただきました。

好奇心に導かれ、自分の人生の旅をし続けるヒデさんの瞳の奥は、
キラキラと光っています。

「よく生きる」とは「正しく命を使うこと」
生き方、暮らし方、どう命を使うのか、
自分の人生のテーマを考えるひと時となりました。(A)



次回号「慢性うつ病は、無意識に抑圧していた怒りや悲しみを、カウンセリングで取り出していく」→

←前回号「グループがもつダイナミズムを活かす、プロセスワーク!」


インタビューTOP(目次)

-ご案内- 榎本 英剛 先生 よく生きる研究所


榎本 英剛(えのもと ひでたけ)  よく生きる研究所代表、CPCC、PCC
                      CTIジャパン創設者
                      セブン・ジェネレーションズ創設者
                      トランジション・ジャパン共同創設者

1964年、兵庫県宝塚市生まれ。一橋大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事・営業・企画・研修開発などの業務を経験し、1994年に退社。米国サンフランシスコにあるCalifornia Institute of Integral Studiesにて組織開発・変容論を専攻、1997年に修士号を取得。
米国留学中の1995年にCTIのコーアクティブ・コーチングと出合い、翌1996年に日本人として初めてプロコーチの資格であるCPCCを取得。2000年には株式会社CTIジャパンを設立。
2003年末からは、スコットランドのフィンドホーンというエコビレッジにて、家族とともに持続可能な暮らしを肌で学ぶ。帰国後、持続可能な未来を創るための市民運動であるトランジション・タウンおよびチェンジ・ザ・ドリームを2008年から展開。2012年には、これまでの経験を統合し、広く共有するための場として、よく生きる研究所を設立し、活動の主軸としている。


<榎本英剛先生のHP>
【よく生きる研究所】


<CTIジャパンのHP>
【CTIジャパン】


<榎本英剛先生の著書・訳書>

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部下を伸ばすコーチング



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コーチング・バイブル第3版



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バーチャル・チーム







インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)
鈴木明美
セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren

インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)
川田史郎
マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。



インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)
大島まさあき
大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング

インタビュアー:岸眞美(きしまみ)
岸眞美
会社員生活を送るうちに、人が幸せになる、ってどういう事だろうという
素朴な疑問が生まれました。

社内教育に携わり、コーチングに出会い、資格を取得。
現在は、ほっとする「居心地の良い場所」を追究すべく、
自然療法フットケアサロンOPENに向け、日々研鑽中。

インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)
脇坂奈央子
『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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